auじぶん銀行の住宅ローン金利プラン「ミックス」について解説

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auじぶん銀行の住宅ローンのミックスについて

これから住宅ローンを借りようとしている方の多くは、「変動金利と固定金利のどちらがいいの?」という疑問をお持ちだと思います。一般的に変動金利は、固定金利よりも低金利ですが、金利上昇リスクがあります。一方で、固定金利は、変動金利よりも金利が高く返済負担は重くなります。目先の低金利を取るか、安定を取るか悩ましいところです。

このように、多くの方は二者択一に悩みますが、実は変動金利と固定金利を両方選ぶことはできます。それは、ミックスローンという方法です。この記事では、ミックスローンの特徴とメリット・デメリットをauじぶん銀行の住宅ローンを例にして解説します。

※本記事で解説するauじぶん銀行の住宅ローンの内容は、2023年2月時点に同行のウェブサイトで取得した情報に基づき記述しています。住宅ローンの最新の情報、詳細の商品性については、同行のウェブサイトでご確認ください。

この記事を書いた専門家(フィナンシャルプランナー)
遠藤功二(フィナンシャルプランナー)


遠藤功二(えんどう こうじ)

1級FP(1級ファイナンシャルプランニング技能士)

CERTIFIED FINANCIAL PLANNER、経営管理専攻修了(MBA)

三菱UFJモルガンスタンレー証券、オーストラリア・ニュージーランド銀行にて延べ1,000人以上の顧客の資産運用アドバイスを担当。 現在は独立系FPとして、投資に限らずライフプランニング、保険、住宅などの幅広い分野で相談、講演、執筆業務に携わる。

日本の住宅ローン金利の状況

日本では、1999年のゼロ金利政策以来、長期的に低金利が続いており、住宅ローンの金利は低位安定しています。つまり、約20年程度の期間で考えると、変動金利を選ぶのが正解だった、ということになっています。

しかし、海外ではインフレを抑制するために一定の周期で金利の引き上げ(利上げ)が行われています。日本でもいつしか利上げが行われる可能性はあります。住宅ローンは30年以上の長期間の借り入れになるため、金利上昇リスクについては想定しておく必要があります。

多くの住宅ローン利用者は変動金利を選んでいる

2021年10月〜2022年3月に住宅ローンを借りた方を対象に、住宅金融支援機構が行なった「住宅ローン利用者の実態調査」の結果によると、変動金利と固定金利を選んだ方の割合は以下の通りになっています。

  • 変動型:73.9%
  • 固定金利選択型:17.3%
  •  全期間固定型:8.9%

(参考・出典)

2022年4月 住宅金融支援機構 【概要】住宅ローン利用者の実態調査

https://www.jhf.go.jp/files/400356695.pdf

このように、7割強の方が変動金利を選んでおり、全期間固定型を選んでいる方の割合は約1割程度となっています。消費者は、固定金利の安心感よりも、とりあえずの金利の低さを選択していることがうかがえます。

同調査によると、住宅ローンの金利の見通しについては、「ほとんど変わらない」と回答した方は全体の46.1%程度となっており、2021年10月調査の63.1%よりも急激に減少しています。「現状よりも上昇する」と答えた方々は全体の39.2%となっており、この数字は2021年10月調査の23.1%から急上昇しています。このことから、住宅ローンの金利については、「上がるかもしれない」と考えている方が増えてきていることがわかります。

2023年2月時点では、海外での金利の引き上げが見られており、日本でも物価が一定水準まで上昇すれば金利が引き上げられる可能性があるため、低金利が続くことを過信しない方がよいでしょう。

ミックスローンとは?

「金利上昇リスクは気になるが、金利が高い固定金利で借りるのは納得できない」という方のためにあるのが、ミックスローンです。

ミックスローンは、2つの種類の金利を合わせて借りる住宅ローン契約の方式です。最もポピュラーな組み合わせが変動金利と固定金利の組み合わせです。

auじぶん銀行の場合は固定金利同士、変動金利同士を組み合わせることも可能です。また、同行では50%:50%だけでなく、70%:30%といったような好みの割合での組み合わせも選択可能です。

ミックスローンのメリット

ミックスローンのメリットは、まともに金利上昇の影響を受けない点です。一方で、結局金利が上がらなかった場合には、一部分は変動金利の低金利の恩恵を受けられる利点もあります。

例として4,000万円の住宅ローンを借り、10年後に金利が上がったケースで、毎月返済額と総返済額を計算してみます。ここでは、全額変動金利で借りた場合、全額固定金利で借りた場合、ミックスローンで変動金利と固定金利を半分ずつ借りた場合の3つのパターンを比較してみます。

【前提条件】

借り入れ金額:4,000万円

金利:変動金利0.5%→10年後2.0%に上昇、固定金利全期間1.5%

借り入れ期間:35年

※実際のauじぶん銀行の住宅ローンの金利とは異なります。計算例を簡易にするため仮の金利を設定しています。計算過程では事務手数料等の諸費用は考慮していません。

  変動金利 固定金利 ミックスローン
変動金利 固定金利
1〜10年の毎月返済額 103,834円 122,473円 51,917 61,236
113,153
11年目〜35年目の毎月返済額 124,088円 122,473円 62,044 61,236
123,280
総返済額 49,686480円 51,438,660円 50,562,360

(筆者計算)総返済額は、端数処理はせず毎月の返済額を単純に期間分乗じています。

上記の通り、金利の引き上げ前の1〜10年目までの毎月返済額は、変動金利が最も低く、次いでミックスローン、最も高額なのは固定金利になっています。一方で、金利の引き上げ後である11年目〜35年目の毎月返済額は、金利が変わらない固定金利が最も低く、次いでミックスローン、最も高額なのは変動金利になっています。

35年分の金利と元本を足した総返済額は、変動金利が最も低く次いでミックスローン、最も高額なのは固定金利となっています。

このことから、変動金利と固定金利を合わせる形のミックスローンはちょうど中間の条件に位置することがわかります。変動金利が急激に上昇した場合は、固定金利が最も総返済額が少ないプランだった、ということになりますが、その場合もミックスローンは、中間の順位に位置します。

ミックスローンのデメリット

ミックスローンのデメリットは、登記関連費用が2本分かかってしまう点です。2つの住宅ローンを合わせて組む仕組みのため、司法書士に支払う登記関連費用は、かさんでしまいます。

一方、auじぶん銀行の場合、事務手数料は定率制をとっているためミックスローンでも1種類の金利を選ぶ住宅ローンでも、合計の借り入れ金額が同じであれば、事務手数料は変わりません。

(参考・出典)auじぶん銀行の住宅ローン公式サイト

ミックスローンの留意点

auじぶん銀行でミックスローンを借りる時の留意点の1つとして、借り入れ金額があります。auじぶん銀行の住宅ローンの最低借り入れ金額は、500万円です。ミックスローンでは同時に2契約を行いますが、1契約あたりの最低借り入れ金額は500万円に設定されています。ということは、最低借り入れ金額は1,000万円ということになります。

また、保証付金利プランの利用時にはミックスローンが選択できない点も留意が必要です。

実は、auじぶん銀行では原則、保証会社の利用を義務付けていません。しかし、審査結果によっては保証会社の利用を融資条件に指定されることがあります。これを「保証付金利プラン」といいます。

保証付金利プランは金利が、保証会社なしで利用できるプランよりも高めに設定されています。auじぶん銀行の審査の結果で保証付金利プランの指定があった場合は、金利が高めになってしまう上に、ミックスローンを利用できないというデメリットが生じます。

ミックスローンが合う人

ミックスローンは、変動金利か固定金利かを選びきれない方に向いているということです。

また、将来金利が上がってしまう可能性があると考えている方で、積極的に繰り上げ返済を計画している方にもミックスローンは合っていると思われます。

仮に金利が上昇するにしても、先述の例のように、0.5%の金利が一気に2.0%まで上がるとは限りません。変動金利が固定金利に追いつくには一定の時間がかかるはずです。

金利が上がりきる前に変動金利部分の繰上返済を積極的に進めていけば、残った固定金利部分は金利上昇の影響を受けないので安心です。「低金利の変動金利は捨てがたい。しかし金利はいつか上がる気がする」という方にミックスローンは向いています。

ミックスローンが合わない人

「最も有利な選択をしたい」と考える方にはミックスローンは向きません。住宅ローンは、金利の変動次第で有利不利の結果が決まります。金利が上がらなければ変動金利が有利であり、金利が一定水準以上に上がれば固定金利が有利だったということになります。ミックスローンが最も有利な選択だった、ということはありえません。

ミックスローンの申し込み方法

ミックスローンの申し込み方法は難しくありません。auじぶん銀行の住宅ローン契約は、司法書士との面談以外はオンラインで完了します。最初に行うアクションは、住宅ローンのマイページの登録です。マイページ上では仮審査を申し込むことができます。

仮審査の時点で、金利の選択項目があり、「ミックス」を選ぶことができます。審査結果次第で希望の金利プランが利用できない可能性はありますが、逆に審査結果に問題がなければ、ミックスローンで手続きを進めていく流れになります。なお、契約手続きの時に金利プランは変更することができます。ただし、その場合は手続きに余分な時間がかかってしまう可能性があるため、注意が必要です。

auじぶん銀行の住宅ローンの特徴

ミックスローンを提供しているauじぶん銀行の紹介をしておきます。

auじぶん銀行は、大手通信会社とメガバンクの出資で設立したネット銀行で店舗はありません。スマホやパソコンでさまざまな手続きを完了させることができます。

特に、住宅ローンはauじぶん銀行の看板商品といっても過言ではないくらい、業界では知られています。経営コストの低さからたたき出される金利は、住宅ローンの低金利競争のトップグループの1つです。また、がんと診断されただけで残債の半分がなくなる「がん50%保障団信」は、金利上乗せなしで加入でき、現役世代に安心を届けています。

auじぶん銀行は住宅ローン業界において、低金利、安心、利便性を兼ね揃えており、人気の銀行です。

auじぶん銀行の手厚い団信

前述のとおり、auじぶん銀行には、がん50%保障団信という魅力的な団信があります。がん50%保障団信には、31日以上の入院になった際に、30日ごとの返済額を保障してくれる「月次返済保障」と、入院継続180日になると残債が完済される「全疾病保障」も付いています。がん以外の長期療養のケースを広くカバーしてくれる点は安心だと思います。

auじぶん銀行には、がん50%保障団信の他に、がん100%保障団信、がん100%保障団信プレミアム、ワイド団信などもあります。これらの団信には、死亡・高度障害時に残債が完済される保障の他に、下記に記載のさまざまな保障が付いています。

がん100%保障団信

がん100%保障団信は、がんと診断されると残債がすべてなくなる団信です。月次返済保障と全疾病保障も付いています。残債が半分になるのと、完全になくなるのとでは、経済的な負担は全く異なりますので、がん100%保障団信を選ぶ人はいます。ただし、がん100%保障団信に加入する場合は、金利が年0.05%上乗せされます。

がん100%保障団信プレミアム

がん100%保障団信プレミアムには、がん診断時の残債100%保障に加えて4疾病保障や各種給付金特約がセットされています。

ワイド団信

上記のがん団信は、50歳までの人が対象です。50歳超の人は保障が死亡・高度障害に限定される一般団信に加入するのが通常です。ただ、持病や病歴を理由に一般団信に加入できない人は、ワイド団信なら加入できるかもしれません。ワイド団信は、高血圧症、糖尿病、肝機能障害などがあり、なかなか団信の審査に通らなかった人も対象にした団信です。ワイド団信に加入の場合は、上乗せ金利は年0.3%必要です。

金利の選択は慎重に

変動金利か固定金利かを迷ったときに助け舟となるのがミックスローンです。だからといって気軽に選択するのは危険です。住宅ローンの返済期間は長期に渡るため、「ミックスローンを選ばなければよかった」というケースもあり得るからです。

もし、そのような心変わりが生じた場合は、通常は「借り換え」を選択するものですが、auじぶん銀行で住宅ローンを借りている方は、借り換えの選択肢はないものと考えた方が良さそうです。なぜなら、先述のとおり同行の住宅ローンはかなり好条件だからです。

例えば、「ミックスローンの固定金利部分を変動金利に変えたい」といった場合、金利の高い金融機関で住宅ローンを借りているのであれば、auじぶん銀行のような低金利の銀行に借り換えられることでメリットが享受できる可能性があります。総返済額や毎月の返済額が下がることが期待できるということです。

しかし、auじぶん銀行で住宅ローンを借りている場合は、借り換え先は見つからない可能性が高いでしょう。借り換えには、事務手数料や登記関連費用がかかるので、一定以上借入金利が下がらないと総支払額を下げる効果が生まれません。

auじぶん銀行より、極端に金利の低い銀行を見つけるのはほぼ不可能だといえます。

auじぶん銀行の住宅ローンは、好条件なだけに、借り換えという選択肢を取れる可能性は低いものだと考え、金利プランを選ぶようにしましょう。

まとめ

本記事執筆時点(2023年2月)では、日本の政策金利に利上げの兆候は見られていません。しかし、諸外国では実際に金利を上げている国が出てきており、将来に渡って日本の低金利を保証できる人は誰もいません。

このように住宅ローン金利が上がることを懸念する方にとって、ミックスローンは1つの選択肢になるでしょう。

(参考・出典) auじぶん銀行の住宅ローンについて

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