auじぶん銀行の住宅ローンでボーナス払いは利用できる?

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この記事を書いた専門家(フィナンシャルプランナー)
遠藤功二(フィナンシャルプランナー)


遠藤功二(えんどう こうじ)

1級FP(1級ファイナンシャルプランニング技能士)

CERTIFIED FINANCIAL PLANNER、経営管理専攻修了(MBA)

三菱UFJモルガンスタンレー証券、オーストラリア・ニュージーランド銀行にて延べ1,000人以上の顧客の資産運用アドバイスを担当。 現在は独立系FPとして、投資に限らずライフプランニング、保険、住宅などの幅広い分野で相談、講演、執筆業務に携わる。

住宅ローンで借りたお金を返す方法の1つに「ボーナス払い」があります。ボーナス払いとは、年に数回、毎月の返済金額に一定の金額を上乗せして返済する方法です。

この記事では、「auじぶん銀行の住宅ローンでボーナス払いは選択できるか」という点やボーナス払いに関する基本を解説しています。これからauじぶん銀行の住宅ローンの申し込みを考えている人で、ボーナス払いの利用を考えているようであれば、この記事の内容を参考にしていただければと思います。

まず、結論から申し上げるとauじぶん銀行の住宅ローンではボーナス払いを選択できます。(2023年3月時点)

ところで、そもそもボーナス払いという支払い方法自体は合理的なのでしょうか。この記事の中では住宅ローンのボーナス払いのメリット・デメリット、そして気をつけておくべきポイントをauじぶん銀行で住宅ローンを借りる場合を例に解説します。

auじぶん銀行の住宅ローンについて詳しくはこちら

auじぶん銀行ではボーナス払いに対応している

本記事執筆時点(2023年3月時点)では、auじぶん銀行の住宅ローンにボーナス払いの選択肢はあります。

実際に、auじぶん銀行のウェブ上の住宅ローンシミュレーションをみてみると、借入金額におけるボーナス払いの割合を選択できるようになっています。

ボーナス払いのメリット

ボーナス払いを利用するメリットは、仮に同じ借入額であれば、毎月の支払い金額が、ボーナス払いを利用しないケースに比べて少なくて済むことが挙げられます。

例えば、5000万円の住宅ローンを借りた際に、①ボーナス払いを利用しない場合、②ボーナス払いを借入金額のうち20%利用した場合、③ボーナス払いを借入金額のうち40%利用した場合では、③の場合が最も毎月の返済金額が小さく、①の場合が最も毎月の返済金額が大きくなります。下記の表に毎月の返済金額とボーナス払いの金額の例を記載します。

ところで、auじぶん銀行ではボーナス払いの月が、半年ごとに年2回到来します。ボーナス払いの月は選択制になっているので、自身の勤め先のボーナス支給月に合わせることができます。ただし、ボーナス支給月が年1回の方は、ボーナスがない月にボーナス払いが発生することに注意が必要です。

なお、auじぶん銀行では、変動金利と固定金利を扱っており、それぞれの金利は、銀行業界の中で最低クラスの水準です。下記の表は、ボーナス払いの効果を測定する目的に特化するため、auじぶん銀行の具体的な金利は使用せず、筆者が任意に設定した「0.5%」という金利で計算しています。

この金利は実際のauじぶん銀行の借入金利とは異なりますし、auじぶん銀行では様々な金利を引き下げるサービスも実施しています。最新の借入金利を確認する場合はauじぶん銀行のウェブサイトをご覧ください。

auじぶん銀行の最新の金利はこちら

ボーナス払いの割合による返済金額の比較

前提条件

金利:年0.5%(筆者が任意に設定、実際の借入金利ではありません)

借入期間:35年

借入金額:5,000万円

借入額に占めるボーナス払いの割合 毎月の返済金額 年間のボーナス返済金額
ボーナス払いなし 129,792円 0円
ボーナス払い20% 103,834円 155,899円
ボーナス払い40% 77,875円 311,799円

(auじぶん銀行の住宅ローンシミュレーションを使用。お金の教科書編集部作成)

このように、ボーナス払いをしている場合とボーナス払いをしていない場合とでは、毎月の返済金額に相当な違いがあります。一方で、ボーナス返済金額にも注目しておく必要があります。上記のボーナス返済金額は、年2回のうちの1回分です。「ボーナス払い40%」のケースだと、年間のボーナス返済金額は「311,799円×2=623,598円」となります。

つまり、年間のボーナスがこの金額を下回ると、ボーナス払いのために貯蓄を取り崩すことになってしまうということです。

しかも、ボーナス払いの月は、毎月の返済金額にボーナス返済金額を上乗せした支払い金額となるため、「せっかくもらったボーナスが住宅ローンの支払いで消えてしまった」という自体になることがあります。

一方で、収入に占めるボーナスの割合が大きい方の中には、「毎月の家計は赤字で、ボーナス支給時に貯蓄が回復する」という方が少なくありません。この状態だと、投資をする意欲が湧きにくくなり、資産形成の計画が立たなくなってしまいます。そのような方にとっては、毎月の返済金額を抑えられるボーナス払いの仕組みはメリットとなるでしょう。

ボーナス払いのデメリット

ボーナス払いのデメリットは以下の通りです。

  • 総返済額が大きくなる
  • 借りすぎてしまうことがある

総支払い額が大きくなる

先ほど用いた3つのケースで、今度は総返済額を比較してみます。

ボーナス払いの割合による総返済金額の比較

前提条件

金利:年0.5%(筆者が任意に設定、実際の借入金利ではありません)

借入期間:35年

借入金額:5,000万円

借入額に占めるボーナス払いの割合 総返済額(借入金額+利息)
ボーナス払いなし 54,512,740円
ボーナス払い20% 54,523,065円
ボーナス払い40% 54,533,468円

(auじぶん銀行の住宅ローンシミュレーションを使用。お金の教科書編集部作成)

実は、「ボーナス払いなし」のケースが最も総返済金額が少なく、「ボーナス払い40%」のケースが最も総返済額が多くなっています。ただ、この金額の差は35年間の合計額で生じている、という事実も見落としてはいけません。前述の通り、「ボーナス払いなしにしたことで毎月の収支が赤字になってしまい、投資する気が起こらず、ボーナスは貯蓄の減少分を埋めた後、生活費用の銀行口座に置いたままになっている」という方は少なくありません。

ボーナス払いをすることで、「毎月の黒字分は投資に回している。ボーナス払いがあるおかげでボーナスを散財しなくて済んでいる。結果的に資産形成ができた。」ということもあります。投資をしている人としていない人の35年間の資産額の差は、数万円レベルではないでしょう。

ボーナス払いをすることで総返済額は上がってしまいますが、その事実だけで判断しないことが大切です。

借りすぎてしまうことがある

ボーナス払いは「背伸び」に使うことができるので注意が必要です。

すでに借入金額が決まっていて、ボーナス払いを利用するか否かを選ぶ、ということであれば先述の通り、家計の収入の状況を見てボーナス払いの多寡を判断すれば良いでしょう。

一方で、欲しい物件に足りる借入金額を確保するためにボーナス払いを利用するのは危険です。ここでは、毎月の返済金額から借入金額を計算し、ボーナス払いを利用しないケースと利用するケースを比較します。

ボーナス払いの金額による借入可能額の比較

前提条件

金利:年0.5%(筆者が任意に設定、実際の借入金利ではありません)

借入期間:35年

毎月の返済金額:12万円

ボーナス払いの金額 借入可能額 総返済額(借入可能額+利息)
なし 46,200,000円 50,369,738円
10万円 52,600,000円 57,353,877円
30万円 65,400,000円 71,322,348円

(auじぶん銀行の住宅ローンシミュレーションを使用。お金の教科書編集部作成)

このように、毎月の返済金額は同じでも、ボーナス払いを利用するかしないかで、大きく借入可能金額が異なります。「この物件が欲しいけど、毎月の返済金額から考えたら予算オーバー」という状況でボーナス払いを利用して借入額をアップさせ、背伸びをして物件を購入する方がいます。毎月の返済金額が予算ギリギリで、ボーナス払いまで付加してしまうと、収入に占める住宅支出が大きくなりすぎ、他のライフイベントに使うお金が貯められなくなってしまうことがあります。住宅ローンの返済で苦しまないようにするためには、「背伸び」はしないことが大切です。

ちなみに、上記の表でいう借入可能額とは、銀行が審査で承認する金額とは異なります。あくまでも金利、借入期間、毎月の返済金額、ボーナス払いの金額を元に、計算式に基づいて計算しただけの数字です。試しに借入金額を4620万円、金利を年0.5%、借入期間を35年にして、住宅ローンシミュレーションで毎月の返済金額を計算すると、答えは約12万円になります。(計算過程の処理でちょうど12万円にはなりません)

また、銀行の借入審査は基本的に、借入金額を元に行います。ボーナス払いの選択の有無は審査結果に影響しません。ボーナス払いで「背伸び」をしようと思っても、審査で通らない可能性はあります。

ボーナス払いを変更できる?止められる?

多くの銀行では、ボーナス払いの有無を変更できるので、auじぶん銀行も対応してくれる可能性は高いといえるでしょう。ボーナスがないタイプの会社に転職した場合などには、返済方法を変更する、という選択肢もありだということです。

なお、auじぶん銀行では住宅ローンの条件変更手数料を5,500円(税込)としています。条件変更を行うことでこのような手数料がかかってしまう可能性があるため、実際に返済方法を変更したい場合は、余裕を持った日程でauじぶん銀行に問い合わせをしてみましょう。

また、各銀行のルールや体制は変更になることもあります。「借入当初はボーナス払いの有無を変更できるルールだったが、途中からできなくなってしまった」といったこともあり得ますので、ボーナス払いの利用有無の選択は慎重に行いましょう。

(参考)auじぶん銀行 住宅ローン 手数料

https://www.jibunbank.co.jp/products/homeloan/plan_detail/charge/

住宅ローンを組んだら家計の見直しを

住宅を購入した際には、「大きな買い物をしたので支出を削りたい」という衝動にかられる方が少なくありません。auじぶん銀行の住宅ローンを組んだ際には医療保険の見直しも検討できる可能性があります。

auじぶん銀行の住宅ローンには、保障が充実した団体信用生命保険(団信)を付けることができます。例えば、がんと診断されたら残債の半分がなくなる「がん50%保障団信」は、金利上乗せなしで加入できます。金利を上乗せすれば「がん100%保障団信」「がん100%保障団信プレミアム」も選択できます。これらのがん団信には、入院時の保障も付いていたりしていて、対象範囲はがんだけではありません。

auじぶん銀行の公式サイトはこちら

がん100%保障団信プレミアムの内容は、一般的な医療保険やがん保険の保障内容もカバーしているといえます。

団信と医療保険の違い

団信と一般的な生命保険は、以下の点が異なります。

  • 解約の自由度
  • 保険金額

団信は住宅ローンとセットで加入する保険のため、原則は住宅ローンの返済が終わるまでは、同じ保険が続きます。切り替えはできません。例えば、返済の途中でがん50%保障団信からがん100%保障団信への変更はできないということです。

一方、生命保険は健康状態さえ問題なければ、自由に見直し(切り替え)ができます。

ただ、団信と一般的な生命保険とでは保険金額には差があります。団信で保障されている金額は住宅ローンの残債の一部または全部です。死亡保険ならともかく、がん保険で数千万円の保障が得られる保険はほとんどありません。「がんになっただけで数千万円の保険金が得られる」というのは団信ならではの保障だといって過言ではありません。

万が一ボーナスが止まってしまったら

ボーナス払いを選択したものの、業績悪化や会社の制度変更でボーナスがストップしてしまうことがあります。ボーナスがカットされ、住宅ローンの支払いが苦しくなった際にはどのような打ち手が考えられるのでしょうか。ここでは、万が一そのようなことが起きた時の手立てについて、例を紹介します。

【返済が苦しくなった時の打ち手】

  • 収入源を増やす
  • 固定費をカットする
  • 銀行に相談する

片働きの世帯で、世帯主のボーナスがカットされた場合は、共働きに変えるなど、収入源を増やす必要があります。この際には、家事の役割分担を再考することも必要になります。

通信費やスポーツジムなど、固定費をカットすることは家計改善の基本です。複数の項目の固定費カットは、月数万円の支出減に繋がる場合もあります。

「さまざまな打ち手を考えたが、どうしても返済が苦しい」という場合には、早めに銀行に相談しましょう。銀行によっては、返済を一時的に待ってくれたり、返済プランを変更するなど親身に相談にのってくれる場合があります。銀行に相談せずに返済をスキップすることは避けましょう。

住宅ローンシミュレーションを活用する

この記事では、住宅ローンシミュレーションを使ってボーナス払いの有無による返済金額の違いを計算しました。auじぶん銀行のウェブサイトには、住宅ローンシミュレーションが掲載されており、誰でも使うことができます。

住宅ローンシミュレーションでは、借入金利や返済期間について任意の数字を入れることができます。変動金利を選択する方は、金利が上がってしまった場合に、毎月の返済額がどれだけ上がってしまうのかを計算することもできます。

住宅ローンシミュレーションを使って、自身に合った返済計画を立てましょう。

収入に応じてボーナス払いを選択を

ここまで述べてきた通り、ボーナス払いの選択はご自身の収入に占めるボーナスの割合で決めると良いでしょう。単純に総支払い額が高いからボーナス払いが悪い、とはいえません。

特に借入金額がまだ決まっていない方はボーナス払いを使って借入金額を背伸びしすぎないように注意しましょう。

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