遠藤功二(えんどう こうじ)
1級FP(1級ファイナンシャルプランニング技能士)
CERTIFIED FINANCIAL PLANNER、経営管理専攻修了(MBA)
三菱UFJモルガンスタンレー証券、オーストラリア・ニュージーランド銀行にて延べ1,000人以上の顧客の資産運用アドバイスを担当。 現在は独立系FPとして、投資に限らずライフプランニング、保険、住宅などの幅広い分野で相談、講演、執筆業務に携わる。
この記事ではauじぶん銀行の住宅ローンをおトクな金利で借りることができるau金利優遇割について解説しています。

上の画像は、2025年4月にSNS「X」で話題となったauじぶん銀行の住宅ローン利用者の声を示したものです。auじぶん銀行は以前まで「業界最低水準」の金利で多くの利用者を集めていましたが、最近では周囲の銀行よりも急速に金利を引き上げたため、戸惑いや困惑の声が目立っている様子がわかります。金利引き上げから数か月経過して困惑の声そのものは減ってきていますが、時間の経過と共に利用者が”あきらめた”、”慣れてしまった”と言えそうです。
一方、現在特に注目されているのがSBI新生銀行の住宅ローンです。同銀行は金利の上昇幅を比較的小さく抑えているため、他行と比べて相対的に魅力が増し、関心を集めています。住宅ローンを検討する際は、各銀行の最新動向を常に把握することが大切です。注目度の高い銀行の金利状況や特徴的な商品性は、必ずチェックするようにしましょう。

目次
はじめに
「au金利優遇割」は、2021年3月1日に提供が始まった制度で、auのスマホなど通信サービスを契約しているユーザーがauじぶん銀行の住宅ローンを利用する際に、特別な金利割引を受けられる仕組みです。この制度は「住宅ローン金利優遇割」という、より広い範囲を対象にした優遇サービス群の中のひとつに位置付けられています。
具体的には、auじぶん銀行の住宅ローンとau回線、さらにじぶんでんきをセットで利用すると、住宅ローンの金利が最大年0.1%引き下げられます。長期にわたる返済を考えると、この0.1%の差が総返済額に大きな影響を与える可能性があるため、軽視できません。
さらに、J:COM NET優遇割、J:COM TV優遇割、コミュファ光優遇割といった他の割引サービスも用意されており、対象となるインターネットやテレビサービスを追加契約することで金利優遇幅を拡大することが可能です。これらは適用条件を満たしてから3か月後に優遇が始まり、J:COM NET優遇割とJ:COM TV優遇割については戸建住宅が対象となります。
注意点として、じぶんでんきは提供エリアが限られており、地域によっては利用できないケースがあります。また、各サービスの申し込みや解約のタイミングによって、優遇が途中から適用されたり、逆に対象外になることがあります。なお、必ずしも住宅ローンと同時に申し込む必要はありません。
住宅ローンは借入額が大きく、返済期間も数十年に及びます。わずか年0.1%の違いでも、総支払額には数十万円単位の差が出ることがあります。au金利優遇割を活用する際には、自分が条件を満たせるかどうかを確認し、特にUQモバイルやpovo(1.0/2.0)を利用している方は適用条件を事前にしっかり確認しておくことが大切です。
【重要】au金利優遇割は後付けできる
この記事を見ている人の中には、UQモバイルやpovo2.0などauじぶん銀行の「auモバイル優遇割」の対象にならないスマホ(通信契約)を利用している人がいると思います。そんな人に覚えておいて欲しい点を先に解説しておきます。
実は、auじぶん銀行の住宅ローンを利用した後に、au金利優遇割の対象になるスマホ契約に切り替えた場合でも、問題なく「auモバイル優遇割」の金利優遇が後付けできる(条件を満たした時点から金利が優遇される)という点を覚えておきましょう。
ポイントは「後付けできる」という点です。
優遇対象のauの通信サービスやでんきサービスを住宅ローンの申込時点で利用していない場合、住宅ローン申込時点では金利が優遇されませんが、後日、「au金利優遇割の対象になるスマホやでんきサービス」を契約することとで、所定のタイミングから金利が優遇されるようになります。
つまり、住宅ローンの契約日にスマホの切り替えなどが間に合わない、という点はさほど気にする必要が無いということです。
au金利優遇割とは
au金利優遇割は、「auモバイル優遇割」と「じぶんでんき優遇割」で構成される金利優遇サービスで、それぞれの優遇割の条件は以下のようになっています。
| auモバイル優遇割 | じぶんでんき優遇割 |
| au回線契約により、住宅ローン金利が年0.07%引き下げられる | じぶんでんき契約により、住宅ローン金利が年0.03%引き下げられる |
| au金利優遇割 | |
| auモバイル優遇割とじぶんでんき優遇割を合わせて使うことで、住宅ローンの金利が合計で最大年0.1%引き下げられる | |
それでは、auモバイル優遇割とじぶんでんき優遇割についてそれぞれ、詳しく解説していきます。
auモバイル優遇割とは
auモバイル優遇割はauじぶん銀行の住宅ローンとau回線をセットで契約することで、住宅ローン金利が年0.07%ディスカウントされる優遇制度です。
au回線とはKDDI株式会社(以下、KDDI)または沖縄セルラー電話株式会社(以下、沖縄セルラー)が提供している電話回線のことで、UQモバイルやpovo2.0は対象外です。auマネ活プランは対象。
auモバイル優遇割の適用条件
auモバイル優遇割を利用するためには以下の適用条件を満たす必要があります。家族でauのスマホを利用していると住宅ローンの金利を安くしますよ、と言う仕組みです。
- au IDの回線(auじぶん銀行に登録したau ID)が家族割プラスに加入している
- 家族割プラスのカウント対象回線が2回線以上ある(上記の回線を含む)
- auじぶん銀行の住宅ローンを借りている
- 適用判定日(住宅ローン契約手続完了日)までに手続き各種手続きが完了している
auじぶん銀行の住宅ローンの申込ステップは、以下の通りになっています。
- マイページ登録
- 仮審査申込み
- 本審査申込み
- 契約手続き
- 住宅ローン借入
「1」の契約手続き前には、au回線と家族割プラスの申込を完了させ、auじぶん銀行にau IDを登録しておく必要があります。
無事に適用になってもau回線や家族割プラスを解約すると、auモバイル優遇割も外れてしまいます。「金利優遇を受けるために最初だけ適用条件をクリアする」というのは通じませんので注意が必要です。
金利優遇が適用されるためにはしっかりと条件を満たす必要がありますので、実際の申込み前にはauじぶん銀行のウェブサイトの説明をよく読んでおきましょう。
家族割プラスとは
家族割プラスとは、KDDIと沖縄セルラーが提供する、いわゆる家族割サービスです。家族割プラスによって、対象プランを利用している家族の人数によって、au回線の料金が割り引かれます。
povoの契約について
KDDI と沖縄セルラーが提供しているサービスにpovoというブランドがあります。povoは2024年8月時点ではpovo2.0というサービス名で提供されていますが、auモバイル優遇割の対象外となっています。povo1.0はauモバイル優遇割の対象ですが、2021年9月に受付を終了しているのでこれから新規で契約することはできません。
povo1.0利用者でauモバイル優遇割が適用となっていた方でも、povo2.0に変更した場合はauモバイル優遇割の対象外となってしまうので注意が必要です。povo1.0はもう申し込むことはできないので、別の方法を探さなければならなくなります。
UQモバイルの契約について
KDDIは格安スマホサービスのUQモバイルも提供しています。残念ながらUQ mobileの契約はauモバイル優遇割の対象外です。
なお、auじぶん銀行で住宅ローンを契約してから、後日auモバイル優遇割対象のスマホ契約に切り替えればauモバイル優遇割は適用されるようになります。詳しい条件や適用タイミングは公式サイトで確認しておくようにしてください。
auモバイル優遇割の留意事項
- 法人のau回線契約は対象外
- au回線が次の状態になっている場合は対象外
①解約、②一時休止、③譲渡、④承継
- 以下の2つの契約者が異なる場合は対象外
- auじぶん銀行に登録されているau IDに紐づいているau回線の契約者
- 住宅ローン契約者
- auモバイル優遇割は以下に該当すると終了する場合がある
- auモバイル優遇割の条件を満たさなくなった時
- 住宅ローンを完済した時
- 住宅ローン契約やauモバイル優遇割の適用において不正が判明した時
- 住宅ローンの債務返済が滞った時
- auモバイル優遇割は予告なく中止や変更になる場合がある
上記のことから、auモバイル優遇割は返済期間中にもれなく利用できるとは限らないということを念頭に置いておくと良いでしょう。
au回線利用は得なのか
ここまで見てきたように、auじぶん銀行の「auモバイル優遇割」は、住宅ローンの金利を直接引き下げられる魅力的な優遇制度です。auやUQ mobileを利用していれば、年0.07%程度の金利優遇が受けられるプランもあり、単純に比較すれば総返済額を大きく抑えられる可能性があります。
例えば、4,000万円を35年返済で借りるケースでは、年0.07%の優遇だけで月々の返済が約1,200円下がる試算になります。35年トータルでは50万円以上の利息軽減効果が期待できる計算です。ネット銀行の低金利に加えて、さらに上乗せで金利を下げられるのは、他行にはない強みと言えるでしょう。
しかし、検討する上では注意も必要です。特に格安SIMユーザーの場合、au回線に切り替えると毎月の通信費が増える可能性があります。月額で数百円から数千円の差が出ることもあり、住宅ローンの金利引き下げ分よりも携帯料金の増加の方が大きいと本末転倒になりかねません。
ただし、ここも一律に「高い」とは言えません。近年のauのプランは、データ使い放題や家族割、セット割などを活用することで、自宅の固定回線を解約してモバイル一本化するなど、通信費全体を見直せるケースも増えています。つまり、住宅ローンの金利優遇を受けつつ、通信費全体を最適化できれば、家計全体で大きな節約を実現することも可能です。
また、もし将来的に「通信費をもっと抑えたい」と感じたら、途中でau回線から格安SIMに切り替えることも選択肢にできます。その場合はauモバイル優遇割は終了し、金利も優遇前に戻りますが、差額をシミュレーションした上で「今は優遇を使い、後で通信費を下げる」という柔軟な戦略も取れるわけです。
なお、auモバイル優遇割は住宅ローンの契約時点で適用を選択する必要があります。後から「やっぱり付けたい」というのは基本的にできません。だからこそ、契約前にしっかりと試算をして「通信費全体」「住宅ローンの総返済額」をトータルで比較検討することが大切です。金利の小さな差が長期で大きなインパクトになる住宅ローンだからこそ、こうした制度を上手に使いこなして、無理のない返済計画を立てていきましょう。
じぶんでんき優遇割とは
じぶんでんき優遇割はauじぶん銀行の住宅ローンとじぶんでんきをセットで契約することで、住宅ローンの適用金利が年0.03%ディスカウントされる割引制度です。
先に述べたauモバイル優遇割と合わせて利用すれば、合計で年0.1%の優遇になります。
じぶんでんきとは
じぶんでんきは、auじぶん銀行の住宅ローンの利用者向けにauエネルギー&ライフ株式会社が提供している電気サービスです。初期費用がかからず、電気料金に応じたポイントが貯まったり、アプリで電気料金を管理できるので、家計の味方となるサービスです。ちなみに、auでんきとは異なりますので、混同しないようにしましょう。
※じぶんでんき優遇割の対象とならないプランもあるためauじぶん銀行の公式サイトで最新の情報を確認するようにしましょう。
じぶんでんき優遇割の適用条件
じぶんでんき優遇割の適用条件は以下の通りです。
- auじぶん銀行で住宅ローンを借りる
- 住宅ローン契約手続完了までに「じぶんでんき」を申し込む
じぶんでんきの申込みのためには、auじぶん銀行の口座の支店番号と口座番号が必要になりますので、予め普通預金口座の開設を進めておくとスムーズに手続きが進められるでしょう。
じぶんでんき優遇割の留意事項
じぶんでんき優遇割にも留意事項があります。
- 氏名・住所がじぶんでんきの契約者のものと、auじぶん銀行の住宅ローン契約者のもので一致している必要がある。
- ペアローンの場合は、じぶんでんき契約者の分の住宅ローンにしかじぶんでんき優遇割が適用されない
- 以下の場合はじぶんでんき優遇割が終了する
- じぶんでんきを解約した時
- 住宅ローンまたはじぶんでんきの契約に不正が見つかった時
- 住宅ローンの返済が滞った時
じぶんでんき解約時の優遇金利終了の流れ
もし、じぶんでんき優遇割の適用を受けている状態で、じぶんでんきを解約した場合の優遇金利終了の流れは以下の通りになります。
<じぶんでんき解約後の流れ>
- じぶんでんきを解約する
- 解約した月の翌月を判定月とする
判定月の次の次の月の約定返済日に年0.03%の優遇幅がなくなる
まとめ
auじぶん銀行の住宅ローンは、「au金利優遇割」を活用することで、住宅ローン業界の中でも際立って低い金利で借りられる点が大きな特徴です。2025年時点でも、変動金利・固定金利特約のいずれにおいても業界最安水準の金利を維持しており、ネット銀行の中でも高い人気を誇ります。
さらに、auじぶん銀行の住宅ローンでは、特定の条件を満たすことで金利の上乗せなしに「がん50%保障団信」「4疾病保障(心筋梗塞・脳梗塞・肝疾患・腎疾患)」「全疾病長期入院保障」が付帯されます。これらの保障は、満50歳までの方が加入できるもので、保険料負担を抑えつつも非常に手厚い内容となっています。
がん50%保障団信とは、契約者ががんと診断された際に、住宅ローンの残高の半分が保険金によって返済される仕組みです。死亡や高度障害の場合だけでなく、がん以外の病気やケガによる長期入院が続いた場合にも、一定期間の返済が保障される点が特長です。このように、金利だけでなく保障内容の充実度でも、auじぶん銀行は他行をリードしています。
また、「au金利優遇割」を利用すれば、auの携帯電話や「じぶんでんき」などのサービス利用者は金利をさらに引き下げることができます。条件を満たすことで年0.15%程度の金利優遇を受けられるため、実質的な金利負担はさらに軽くなります。
近年は金利上昇の動きが続いており、固定金利・変動金利ともに水準が上がりつつあります。そのような状況の中で、auじぶん銀行が提示する低金利と保障内容の充実は一層注目を集めています。金利上昇リスクを抑えながら、安心して長期返済を続けられる点が評価されている理由です。
総じて、auじぶん銀行の住宅ローンは、金利面・保障面のバランスが非常に優れており、au金利優遇割を利用することで業界トップクラスの低金利と手厚い団信保障を両立できる、魅力的な選択肢といえます。







