金利引継特約付きフラット35(アシューマブルローン)とは?

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史上最低水準まで金利が低下している長期固定金利住宅ローンのフラット35が気になっている方も多いかもしれません。

フラット35を提供している住宅金融公庫はホームページを全面リニューアルし、わかりやすいメニュー明記や、様々な条件で検索、シミュレーションができるようになるなど、非常に使いやすく便利なサイトとなっています。また、LINE@に公式アカウントを開設したことからも、インターネットサービスへの力の入れ方がうかがえます。
さらに、2017年10月からは、これまで別払いとなっていた団体信用保険特約料を返済金に含むことができる「団信付き」プランを設け、保障内容も拡充させ商品性も高める施策を打ち出しています。この団信のリニューアルと同じタイミングで登場したのが「アシューマブルローン」です。

あまり聞き慣れない用語ですよね。今回はこのアシューマブルローンを解説します。購入した物件を終の棲家とせずに将来売却することも視野に入れいている方は必見です。

フラット35のアシューマブルローンとは?

アシューマブルローンとは、別称「債務承継型ローン」とも呼ばれます。
「フラット35のアシューマブルローン」は、簡単に言えば、長期優良住宅認定を受けた住宅なら、将来それを売却する時に、購入者へ債務(返済中のフラット35)を引き継ぐことができるという、「金利引継特約付き」の住宅ローンです。

アシューマブルローン利用の物件が売却される際、売却価格が債務より低額の場合、差額は売主が弁済します。逆に、売却価格が債務残高より高く設定される場合、承継者は売主の住宅ローンを引き継ぐこともできますし、新たなフラット35に申し込むことも可能です。

アシューマブルローン取扱金融機関はまだ限られており、フラット35によると2018年7月時点で25金融機関。また、債務を承継可能といっても、将来の住宅購入者の同意と住宅金融支援機構の審査があるため、それが不可能な場合もあります。引継不可となった場合は、アシューマブルローン利用者である売主がフラット35の残債を弁済して売却しなければなりません。

<アシュマブルローンの仕組み>

フラット35のアッシュマブルローンの解説図です

フラット35のアシューマブルローンのメリット

それでは、金利引継特約付きのフラット35、アシューマブルローンを利用するメリットは何なのでしょうか?
現在、歴史的にも稀な超低金利が継続しています。アシューマブルローンを利用すれば、未来の購入者にこの低い金利を引き継ぐことができます。将来的に、日本の景気が回復し、日銀が金融緩和を縮小するなどして金利上昇傾向になった時、超低金利の住宅ローンを引き継ぐことは、購入者にとって大変魅力的でしょう。つまり、自分の家を売る時に「低金利」という付加価値をつけられるのが大きなメリットです。

もちろん、将来的に購入した住宅を売却する意志はないのであれば、アシューマブルローンを利用する意味はないでしょう。しかし、購入後予想もしなかった理由で住み替えしなければならない事例も多く、購入したその住宅が終の棲家であると言い切れる方は少ないのではないかと思います。となると、将来より有利に売却できる可能性を残しておくためにもアシューマブルローンを利用するという選択肢もありですね。

フラット35のアシューマブルローンのデメリット

ではアシューマブルローンについてのデメリットはないのでしょうか。

まず1つめに、承継者は返済期間の残期間を引き継ぐこととなります。”金額”ではなく”期間”を引き継ぐことがポイントです。
そのため返済期間の延長は不可、短縮についても承継者が繰上返済などの手続きを取る必要があります。
期間延長ができないといっても、住宅ローンを返済している4割の方が繰上返済などを行い本来の借り入れ期間よりも短縮して完済しているといった調査結果があります。あまり気にしなくても良いでしょう。

そして2つめが、承継者が加入できる団体信用生命保険は、売主と同じ保証内容のものに限定されます。つまり、売主が団信に未加入の場合、承継者は加入することができません。
団信に加入している場合には問題ありませんが、未加入の場合にはデメリットになり得ますね。

それから3つめが、承継者は売主の住宅ローン控除を引き継ぐことはできません。アシューマブルローン利用の住宅を購入したい時、住宅ローン控除の-1.0%と「アシューマブルローン」の金利を比較検討する必要があります。
今と同じ金利水準であればデメリットですが、金利が上がればこのデメリットは小さくなります。

考えられるデメリットを挙げてみましたが、それほど致命的なものにはならないレベルです。しかもこれはすべてローン内容を引き継ぐ承継者側のものです。アシューマブルローンを利用しこれを引き継がせる側には何もデメリットはありませんね。

アシューマブルローンは未来の可能性

かなり大げさな言い方ですが、アシューマブルローンは未来の可能性です。

日銀が金融緩和を行っているため、現時点では数年単位で住宅ローン金利が上昇する可能性は低くいですが、金融緩和はいずれ終了し出口戦略を行うことは、すでに金融緩和を終了し利上げを行っているアメリカを見ればわかります。日本でも中長期的に見れば金融緩和はいつか終了し金利を引き上げる出口戦略に向かうことになるでしょう。

そのときに金利が高いタイミングで今の史上最低水準の金利を引き継げるとなれば売却する住宅の大きなメリットとなるのはいうまでもありません。住宅の購入時に将来的に売却する意思がなくても未来に多くの選択肢を残しておけるのがアシューマブルローンですね。

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