住宅ローンは30代~40代からの申込が多い金融商品です。言い換えれば、若い世代が利用するのが住宅ローンということです。
また、国税庁が行っている平均給料調査結果の「民間給与実態統計調査」によれば、30代前半(30歳~34歳)の平均年収は約380万円、30代後半(35歳~39歳)は約420万円となっています。
年収300万円台は30代前半であればちょうど平均付近ですし、30代後半だとしても平均をやや下回る程度(人数分布では平均以上)ということがわかります。
300万円以上の年収は平均的な年収という事になりますので、一部の特殊な商品を除けば、住宅ローンを利用できないということないでしょう。
目次
年収300万円台の方の住宅ローン審査対策とは?
各金融機関の多くが自社の住宅ローンを利用できる条件として年収を明示していますが、年収300万円台の人を対象外とする金融機関はほとんどありません。
年収が300万円を超えてくると利用できる住宅ローンの幅も広がり、かなりマイホームを購入しやすくなってくる水準の年収と言えます。
もちろん、年収がどの水準であろうといくらでも借りられるわけではありません。
どの程度の金額を借りられるのか、また、どの程度の借り入れであればその後の生活に過度の負担になることなく返済を続けられるのかをしっかりと確認して、できるだけ金利の低い住宅ローンを計画的に利用していく必要があります。
年収300万円台だと住宅ローンはいくら借りれるのか?上限額は?
もっとも単純な住宅ローンの借り入れ可能金額の計算式に年収の6倍という計算方法があります。
例えば、年収300万円であれば1800万円、年収400万円であれば2400万円と言った簡単な計算方法です。
マイホームを購入するための借入金額の上限としては少ないように感じますが、この年収の6倍という簡易な計算方法は「上限額」ではなく「適正額」を算出する計算方法なので、実際に金融機関が定める上限額はもっと高い金額になっています。
例えば、長期固定金利の代名詞ともいえる住宅金融支援機構が提供するフラット35においては、年収が300万円以上400万円未満の方の返済負担率の上限を年収の30%として定めています。
例えば、年収350万円の場合、350万円×30%=105万円(年間の返済上限額)÷12か月=毎月87,500円が借入可能額の上限になります。
これを基準にして、年1.0%の住宅ローンを35年で借り入れた場合の借り入れ可能額は3,081万円が上限となります。
※元利金等返済でボーナスでの返済なし。
なお、返済負担比率には住宅ローン以外のローンの返済も加味した金額が利用されます。例えば、毎月1万円の自動車ローンの返済を行っている場合、前述の毎月の上限返済額から1万を差し引かなければなりませんので注意してください。
年収300万円台と一言で示しても300万円~399万円と幅が大きいため上記の試算例を年収20万円単位で刻んだ場合の住宅ローンの借り入れ上限額は以下のようになります。
年収 | 月々の返済額 | 借入可能額の上限 |
---|---|---|
300万円 | 75,000円 | 2,656万円 |
320万円 | 80,000円 | 2,834万円 |
340万円 | 85,000円 | 3,011万円 |
360万円 | 90,000円 | 3,188万円 |
380万円 | 95,000円 | 3,365万円 |
※元利金等返済でボーナスでの返済なし。
つまり、年収300万円台でも頭金なしで2500万円~3000万円のマイホームを購入することは可能であり、同金額の住宅ローンの借り換えは可能な上限が定められていることになります。※上記の借入可能額の上限はあくまでもフラット35の計算例をもとに算出していますので、金融機関によって異なります。また、借入期間や金利によっても計算が変わってきますので注意してください。
頭金・自己資金について
頭金・自己資金として住宅ローンの借り入れに備えておくことには以下のような効果があります。
- 購入可能なマイホームの幅を拡大する効果
- 住宅ローンの借入額を軽減する効果
- 住宅ローンの金利を低く抑える効果
購入するマイホームの価格から頭金・自己資金の金額を差し引いて住宅ローンを契約することになりますので、同じマイホームを買うとしても、返済負担比率を低くできます。
返済負担率が低いことは住宅ローンの審査対策としても非常に重要です。
銀行の審査の対策というのは重要なことではありません。最も重要なのは住宅ローン借り入れ後の生活です。
住宅購入後のご自身・ご家族のゆとりある生活ために頭金・自己資金の準備は重要になってきます。2,500万円前後の住宅購入であれば、諸費用・頭金のための資金を300万円程度は準備できていると良いでしょう。
住宅ローン控除について
最後に、疑問に思われている方は、しっかり理解できていない方が多いのが住宅ローンを借り入れた後の税金面での優遇、つまり、住宅ローン控除について解説したいと思います。
住宅ローン控除とは「支払った所得税と住民税が還付(戻ってくる)」仕組みです。あたり前ですが、「所得税や住民税」を納税していなければなりません。サラリーマンであれば年末調整(初年度は確定申告)で還付されますし、自営業などであれば確定申告で還付されます。
それでは、具体的に年収350万円(扶養家族2名:配偶者+16歳以上子供1人の場合)で試算してみましょう。この場合の還付金額は、所得税41,500円+住民税95,500円で合計137,000円となります。
これら税金の説明は、国税庁のホームページにありますので確認しておくようにしましょう。
なお、例えば2500万円の住宅ローンの残高がある場合の還付金の最大値は25万円ですが、先ほどの計算例では、所得税と住民税の納付額が137,000円であるため、これ以上の還付は受けとれないことになります。
おすすめのフラット35取扱い金融機関
住信SBIネット銀行
フラット35は「国策」の住宅ローン商品であり、国民に長期固定金利で資金を提供し、マイホーム購入をサポートすることを目的としています。そのため他の民間金融機関と住宅ローン審査の基準が大きく違う可能性があります。住信SBIネット銀行が2015年9月より取り扱いを開始したフラット35はフラット35を扱う330あまりの金融機関の中で最も低金利です。
SBIアルヒ
フラット35は「国策」の住宅ローン商品であり、国民に長期固定金利で資金を提供し、マイホーム購入をサポートすることを目的としています。そのため他の民間金融機関と住宅ローン審査の基準が大きく違う可能性があります。SBIモーゲージが扱うフラット35はフラット35を扱う330あまりの金融機関の中で最も低金利です。また、今回の発表でアルヒ(旧SBIモーゲージ)のシェアが非常に高いことが分かりました。これはフラット35の取り扱いに一番慣れているということを表しており、同社経由の審査にはノウハウ面、スピード面でメリットがある可能性もありますね。