自営業・個人事業主の住宅ローン審査

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自営業、個人事業主、フリーランスなど、個人事業を行なっている人が日本には240万人いるとされています。

さらに、個人事業者に雇用されている従業員を含めると700万人程度が自営業や個人事業主に関連した仕事をしているとされています。

この記事では住宅ローンについて解説したいと思いますが、この記事をご覧になっている人は「個人事業主は住宅ローン審査に通りにくい」という話を聞いたことがあると思います。

実際、公務員や大企業の従業員と比較した場合には、住宅ローンに通りにくいというのは事実でしょう。中小企業庁の調査では、個人事業主の事業が10年後も存続している確率は数パーセントしかありません。個人事業主は残念ながら間違いなく不安定な働き方で、住宅ローンを貸す側の金融機関からすると、審査を厳しくしたくなるのはよくわかります。

実際に平均年収もサラリーマンより自営業・個人事業主が低い結果が国税庁の調査からも明らかになっています。

しかし、必ずしも住宅ローン審査に通らないわけではありません。

今回は自営業・個人事業主の住宅ローン審査について解説していきたいと思います。

自営業、個人事業主、フリーランスは住宅ローンを借りにくい?

カードローンなどの審査でも自営業、個人事業主、フリーランスは審査に通りにくい属性です。それに加えて住宅ローンは借り入れる額が大きいため審査の難易度ではよりハードルが上がります。

この2つの要素が合わさり自営業、個人事業主、フリーランスは住宅ローンの審査を通りにくくなることは言うまでもありません。

しかし住宅ローンの審査に通らない、借りられないというわけではありません。自営業、個人事業主、フリーランスでも住宅ローンを借りられるポイントを抑えておきましょう。

住宅ローンを借りるための条件

まずは一般的な住宅ローンを借りるため申し込みや審査の条件を確認しておきましょう。銀行により細かな違いはありますが大枠を紹介します。

まず住宅ローンには下記の4つの大きな基準で審査されます。

  1. 申込みの基準
    年齢や勤続年数、年収など
  2. 信用情報の基準
    他社債務やクレジットヒストリーなど
  3. 返済負担率の基準
    年収に対する返済額の割合
  4. 担保価値の基準
    購入物件の評価額以上は借りるのが難しい

大まかに考えてこの4つの基準をクリアすることで住宅ローンを借り入れることが可能になります。
それも重要ですが自営業、個人事業主、フリーランスでは特に3番を重視する必要があります。

自営業、個人事業主、フリーランスが住宅ローンを借りるためには

冒頭でもお話した通り自営業、個人事業主、フリーランスはサラリーマンに比べ住宅ローン審査が厳しくなりますが、審査を通すために年収の基準や借入限度額、自営業、個人事業主、フリーランスでも借入しやすい住宅ローンなどのポイントを抑えておきましょう。

年収基準は?

主要金融機関が住宅ローン審査で個人事業主に求める年収基準は、サラリーマンや公務員と同じ年収基準が適用されています。

審査基準の年収面で特徴的なのは、楽天銀行のフラット35やアルヒのフラット35など。年収100万円程度でも借入できます。

ソニー銀行では400万円、SBI新生銀行では300万円と基準が定められており、フラット35の年収基準の寛容さは特筆すべきものがあります。

借入限度額は?

年収50万円単位で借入限度額を一覧化しましたが、より細かい年収で試算されたい方は、上記の楽天銀行のサイトを試してみてください。

※スマホの方は下記の表を横および縦にスクロールいただくとシミュレーションを確認いただけます。

自営業・個人事業主の年収(所得)借り入れ限度額月々の返済額
100万円831万円24,998円
150万円1246万円37,482円
200万円1662万円49,997円
250万円2077万円62,481円
300万円2493万円74,995円
350万円2908万円87,479円
400万円3878万円116,659円
450万円4363万円131,249円
500万円4847万円145,809円
550万円5332万円160,399円

事業継続年数は?

住宅ローン審査の項目に勤続年数というものがありますが、主要金融機関が自営業、個人事業主、フリーランスに必要としている事業継続年数を調べてみました。多くの銀行で「3年以上」。3年以上の事業継続年数が求められていると考えるべきですね。ただし、楽天銀行のフラット35やアルヒのフラット35は特徴的で、「規定なし」。

つまり、フラット35の場合は、開業直後であっても住宅ローンが組める可能性があります。

赤字で住宅ローン審査は通る?

多くの金融機関の住宅ローン審査には、過去3年分の確定申告書の提出が求められます。金融機関は継続的に安定的に返済が可能かどうかをチェックしたいわけですから、2期連続で赤字である場合、住宅ローン審査は厳しくなるのが容易に予想されます。売上を伸ばすのと同時に、適正な経費計上が重要です。

年金未納でも住宅ローン審査に通る?

個人事業主だと国民年金であるため、会社員と違いご自身で保険料を支払う必要があります。結果的に年金なんか将来もらえないだろうと未納になっている方もいるかと思います。こうした場合は住宅ローン審査に影響するのでしょうか。結果的に年金未納が住宅ローン審査に影響したという話を現時点では聞きませんが、住宅ローン審査の際に提出する確定申告書を見れば年金が未納であることはバレるため、あまり好ましい状態とはいえないでしょう。納税とともに国民の義務ですので、適切に支払いをしておくほうが無難でしょう。

必要書類は?

運転免許証(またはパスポート)、保険証、住民票、印鑑証明書、確定申告書、納税証明書が主な提出書類となっています。確定申告書と納税証明書は、多くの金融機関から3年分を求められます。自営業・個人事業主・フリーランスは1月1日から12月31日までの営業数字を1年分として確定申告します。そのため、開業が年後半であった場合など、1年分としてみなされない場合があることは注意してください。
繰り返しになりますが、開業後3年経過していなくても、楽天銀行のフラット35やアルヒのフラット35なら、住宅ローンを組める可能性もあります。3年未満の場合は、こちらを検討してみましょう。

書類備考
健康保険所 
運転免許証もしくはパスポート 
住民票原本
印鑑証明原本
確定申告書および付表(収支内訳書)3年分
納税証明書3年分
物件に関する書類パンフレット、地図、チラシ
頭金に関する書類預金通帳など
団体信用生命保険の申し込み兼告知書5,000万円以上の借入の場合には健康診断書および医師の診断書が必要となる場合があり
事業実態を証明する資料請求書など
国家資格の証明書美容師、理容師、鍼灸師など

頭金なしでも借りれる?

一般論として、自営業、個人事業主、フリーランスが住宅ローン審査に不利であることは否定できませんが、その対策として頭金を用意するのは、住宅ローン審査通過のために有力な方法です。

審査に通ったとしても金利が高くなってしまう可能性もありますから、それを回避するためにも頭金の用意はベターと言えます。

なお、フラット35のように審査結果で適用される金利が変動しない住宅ローンもありますので、注目したいですね。

自営業、個人事業主、フリーランスにおすすめの住宅ローンは?

長期固定金利型住宅ローンのフラット35は民間の一般的な住宅ローンとは性格が異なります。
一般的な住宅ローンは銀行が債権を持ち貸し倒れをした場合には銀行がその債権を回収します。しかしフラット35は、住宅金融支援機構(日本政府出資100%の独立行政法人)と銀行などの金融機関が提携し取り扱っている住宅ローンでその仕組や目的が一般的なぎんことは異なります。

住宅金融支援機構は公的な資金でフラット35を提供し、

  • 職業を問わずマイホームの取得を支援すること
  • 長期固定金利を提供すること
  • 耐久性の高い環境に配慮した住宅を普及させること

などを目的としています。
そのため自営業者、個人事業主、フリーランス、パート従業員、会社経営者など、一般的に住宅ローンが借りにくいとされている職業の方にも広く門戸が開かれた住宅ローンです。

銀行の住宅ローンに申込み審査に落ちて諦める必要はありません。多くの金融機関が提供しているフラット35に申込みをしてみましょう。
その際に気をつけておきたいポイントとして、同じ商品名であるフラット35だからといってどの金融機関で借りても同じではないことです。

フラット35は提供している金融機関によって金利や事務手数料、一部繰上返済手数料など違いがあり、しっかり選ばなくては他のフラット35よりも高い金利で借りてしまうということが起こります。

では、おすすめのフラット35を提供しているのはどの金融機関でしょうか。

【参考】自営業・個人事業主の職業例

スポーツ選手

芸能人

アナウンサー

フリーランス

エンジニア

農業・漁業・林業

アーティスト・デザイナー

開業医

美容師・理容師

芸術家

針灸・按摩師

公営競技選手

保険外交員

アフィリエイター

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