自営業・個人事業主の住宅ローン審査|通すためのポイントを解説

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自宅で働く自営業者と住宅ローンのイメージ

「自営業・個人事業主は住宅ローン審査に通りにくい」とよく言われます。実際に、公務員や大企業の会社員と比べると、審査のハードルが高くなりやすいのは事実です。ただし、通らない・借りられないという意味ではありません。ポイントを押さえて準備すれば、自営業・個人事業主・フリーランスでも住宅ローンは十分に組めます。

総務省統計局の調査などによると、個人で事業を営む自営業・個人事業主・フリーランスは全国に数百万人規模で存在します(会社員や会社経営をしながら個人事業を兼ねる人も多く、正確な人数の把握は難しいのが実情です)。この記事では、こうした働き方の人が住宅ローン審査で気をつけたいポイントを、基礎から順に整理していきます。

参考:総務省統計局「統計 Today」

自営業・個人事業主・フリーランスは住宅ローンを借りにくい?

カードローンなどの審査でも、自営業・個人事業主・フリーランスは収入の変動が大きいとみなされ、審査に通りにくい属性とされます。加えて住宅ローンは借入額が大きく、返済期間も最長35年前後と長いため、金融機関は「長期にわたって安定的に返済できるか」を特に慎重に見ます。

会社員は毎月ほぼ一定の給与があり、勤務先という後ろ盾もあります。一方で自営業・個人事業主は、景気や取引先の状況によって所得が上下しやすく、事業の継続性も個人の力量に左右されます。国税庁の民間給与実態統計調査などでも、自営業者の所得は会社員の平均給与を下回る傾向が示されており、貸す側の金融機関が慎重にならざるを得ない背景があります。

とはいえ、これは「審査に通らない」という話ではなく、会社員よりも準備と書類の裏づけがより重要になるということです。ここからは、自営業・個人事業主・フリーランスが住宅ローンを借りるためのポイントを見ていきましょう。

住宅ローンを借りるための4つの審査基準

金融機関によって細かな違いはありますが、住宅ローンは大きく次の4つの観点で審査されます。

  1. 申込みの基準
    年齢や勤続(事業継続)年数、年収など
  2. 信用情報の基準
    他社債務やクレジットヒストリー(返済の遅延・延滞の有無)など
  3. 返済負担率の基準
    年収に対する年間返済額の割合
  4. 担保価値の基準
    購入物件の評価額。評価額を大きく超える借入は難しい

この4つを満たすことで住宅ローンを借り入れられます。自営業・個人事業主・フリーランスは、特に3番の「返済負担率」と、所得を証明する確定申告の内容が重視される点を意識しておきましょう。

自営業・個人事業主・フリーランスが住宅ローンを借りるためのポイント

審査が厳しくなりやすい分、年収基準・借入限度額・事業継続年数・書類など、押さえておきたい要点を順番に確認していきます。

年収(所得)の基準は?

主要な金融機関では、自営業・個人事業主に対しても会社員・公務員と同じ年収基準を適用しているケースが一般的です。ただし自営業の場合は、額面の売上ではなく確定申告書の「所得(申告所得)」で判断される点に注意が必要です。経費を多く計上して所得を圧縮していると、審査上の年収が低く見られてしまいます。

年収(所得)基準は金融機関ごとに差があります。たとえばソニー銀行は前年度の年収(自営業は申告所得)400万円以上SBI新生銀行は300万円以上を目安としています。一方で、住宅金融支援機構と各金融機関が提携して提供するフラット35は、明確な年収の下限を設けておらず、年収100万円台でも返済負担率の基準を満たせば申し込めるのが特徴です。最新の申込条件は各金融機関の公式サイトで必ずご確認ください。

借入限度額(返済負担率)の目安は?

借入限度額は、年収に対する返済負担率で大枠が決まります。フラット35では、年収400万円未満は返済負担率30%以下、年収400万円以上は35%以下が基準として公表されています。下表は、年収(所得)別の借入限度額と月々の返済額の目安です(試算のため、金利や返済期間などの前提により実際の金額は変わります)。

※スマホの方は下記の表を横にスクロールいただくと全体を確認いただけます。

自営業・個人事業主の年収(所得)借り入れ限度額(目安)月々の返済額(目安)
100万円831万円24,998円
150万円1246万円37,482円
200万円1662万円49,997円
250万円2077万円62,481円
300万円2493万円74,995円
350万円2908万円87,479円
400万円3878万円116,659円
450万円4363万円131,249円
500万円4847万円145,809円
550万円5332万円160,399円

年収400万円を境に返済負担率の上限が30%から35%へ上がるため、限度額の目安も400万円のところで大きく段差がつきます。実際には金融機関ごとの審査金利や他の借入状況によって調整されるため、あくまで目安として捉えてください。

事業継続年数は?

会社員でいう「勤続年数」にあたるのが、自営業・個人事業主の「事業継続年数」です。多くの銀行では3年以上の事業継続を目安としており、開業直後は審査で不利になりやすいのが実情です。

ただしフラット35は事業継続年数の規定を設けていないため、開業直後であっても、他の条件を満たせば住宅ローンを組める可能性があります。会社員から独立して間もない時期にマイホームを検討する場合は、フラット35が有力な選択肢になります。

赤字で住宅ローン審査は通る?

多くの金融機関では、住宅ローン審査で過去3年分の確定申告書の提出を求めます。金融機関は継続的・安定的に返済できるかを重視するため、2期連続の赤字は審査が厳しくなりやすい要因です。節税のために経費を多く計上して所得を抑えていると、審査上は「返済力が低い」と判断されてしまう点にも注意が必要です。売上を伸ばすことと、住宅ローンを見据えた適正な所得の確保のバランスを意識しましょう。

年金・税金の未納があると審査に影響する?

個人事業主は国民年金・国民健康保険の保険料を自分で納める必要があります。国民年金の未納がそのまま住宅ローン審査に直結するとは限りませんが、確定申告書などから支払い状況が推測されることはあります。特に注意したいのは税金の滞納で、納税証明書の提出を求められた際に未納が判明すると、審査に大きく響きます。年金・税金は適切に納めておくのが無難です。

必要書類は?

運転免許証(またはパスポート)、健康保険証、住民票、印鑑証明書、確定申告書、納税証明書などが主な提出書類です。確定申告書と納税証明書は、多くの金融機関で3年分を求められます。自営業・個人事業主は1月1日から12月31日までを1年分として確定申告するため、開業が年の後半だった場合、その年が1年分の実績として認められないことがある点に注意してください。

繰り返しになりますが、開業後3年に満たない場合でも、事業継続年数の規定がないフラット35なら住宅ローンを組める可能性があります。実績が浅いうちは、まずフラット35を検討してみるとよいでしょう。

書類備考
健康保険証 
運転免許証もしくはパスポート 
住民票原本
印鑑証明原本
確定申告書および付表(収支内訳書)3年分
納税証明書3年分
物件に関する書類パンフレット、地図、チラシ
頭金に関する書類預金通帳など
団体信用生命保険の申し込み兼告知書借入額が大きい場合は健康診断書・医師の診断書が必要となることがある
事業実態を証明する資料請求書など
国家資格の証明書美容師、理容師、鍼灸師など

頭金なしでも借りられる?

自営業・個人事業主・フリーランスが住宅ローン審査でやや不利になりやすいのは事実ですが、その対策として頭金を用意することは非常に有効です。借入額を抑えられれば返済負担率が下がり、審査が通りやすくなります。

また、頭金が少ないと審査に通っても金利が高めに設定される可能性があります。総返済額を抑える意味でも、無理のない範囲で頭金を準備しておくとよいでしょう。なお、フラット35のように審査結果によって適用金利が変わらないタイプの住宅ローンもあり、金利面で不利になりにくい点は自営業者にとって魅力です。

自営業・個人事業主・フリーランスにおすすめの住宅ローンは?

長期固定金利型のフラット35は、民間の一般的な住宅ローンとは性格が異なります。一般的な住宅ローンは銀行が債権を持ち、貸し倒れが起きれば銀行がそのリスクを負います。一方フラット35は、住宅金融支援機構(政府が100%出資する独立行政法人)と銀行などの金融機関が提携して取り扱う住宅ローンで、その仕組みや目的が民間の銀行ローンとは異なります。

住宅金融支援機構は、公的な役割としてフラット35を通じて次のようなことを目的としています。

  • 職業を問わずマイホームの取得を支援すること
  • 長期固定金利を提供し、返済計画を立てやすくすること
  • 耐久性が高く環境に配慮した住宅を普及させること

こうした目的から、フラット35は自営業者・個人事業主・フリーランス・パート従業員・会社経営者など、一般的に住宅ローンが借りにくいとされる職業の人にも広く門戸が開かれた住宅ローンです。銀行の住宅ローン審査に落ちても、諦める前に、多くの金融機関が扱っているフラット35を検討してみましょう。

その際に気をつけたいのは、同じ「フラット35」でも、どの金融機関で借りても同じ条件になるわけではないという点です。金利や事務手数料、一部繰上返済手数料などは金融機関によって差があり、しっかり比較しないと同じフラット35でも高い金利で借りてしまうことがあります。

フラット35の取扱実績が豊富なSBIアルヒ(旧ARUHI・SBIグループ)は、フラット35の実行件数シェアで長年トップクラスの実績を持ち、対面相談にも対応しています。ネット系ではドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)のフラット35が低金利で人気です。会社員に比べて審査に不安がある人ほど、複数の金融機関を比較して、自分に合った条件を選ぶことが大切です。なお、民間ローンで自営業者への対応に幅がある銀行としては、SBI新生銀行のように諸費用の分かりやすさや保障内容に特徴のある銀行も選択肢に入れて検討するとよいでしょう。

よくある質問(FAQ)

開業して1年目でも住宅ローンは組めますか?

民間銀行の多くは事業継続3年以上を目安とするため、開業1年目は審査が厳しくなりがちです。ただしフラット35は事業継続年数の規定がなく、他の条件を満たせば開業直後でも申し込める可能性があります。実績が浅い段階では、まずフラット35を軸に検討するのがおすすめです。

節税のために所得を抑えていると審査に不利ですか?

はい。自営業の審査では確定申告書の「所得」で返済力を判断するため、経費を多く計上して所得を圧縮していると審査上の年収が低く見られます。住宅ローンを予定している年は、節税と所得確保のバランスを意識しておくとよいでしょう。

法人の代表(会社経営者)と個人事業主で審査は違いますか?

法人代表の場合は役員報酬(給与)で判断されることが多く、個人事業主は確定申告の所得で判断されます。いずれも事業の継続性・安定性が重視される点は共通です。会社の決算内容の提出を求められることもあります。

自営業・個人事業主・フリーランスは、会社員に比べて審査のハードルが高くなりやすいものの、確定申告の内容を整え、頭金を準備し、フラット35を含めて複数の金融機関を比較すれば、マイホームの取得は十分に可能です。金利だけでなく、諸費用や保障内容、審査の通りやすさも含めて総合的に検討しましょう。申込条件・金利・手数料は変更されることがあるため、最新情報は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。

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