建築確認と住宅ローン審査の関係|確認済証・検査済証と2025年法改正

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建築確認の手続きと住宅の建築をイメージしたイラスト

マイホームは土地を持っていても、その土地に勝手に家(建物)を好きなように建てられるわけではありません。


建築基準法という法律の定めに沿って適切な手続きを行ったうえで建築する必要があります。

建築基準法以外にも、都市計画法や消防法など住宅建築に影響するさまざまな法律があります。建築基準法では、それらの法律と連携しつつ、家を建てるときに遵守しなければならないルールが明記されています。

基本的には、不動産会社や建築事務所・工務店が、家を建てるだけでなく法に従って必要な手続きを進めてくれますので、詳細まで理解する必要はありませんが、私たち自身もある程度の知識を持っておくことが大切です。

また、家を建てるときには多くの人が住宅ローンを利用しますが、住宅ローンの審査の中で、これらの手続きが適切に行われているかも確認されます。ルールを守っていないと、住宅ローンを借りられないこともあります。

この記事では、建築確認と住宅ローンの審査の関係について、用語の整理から提出のタイミング、2025年4月に施行された法改正の影響、そして【フラット35】特有の書類まで体系的に解説していきます。

建築確認とは?

建築確認とは、家を建てる工事をする前に、建物や敷地の計画が建築基準法に適合しているかを確認する手続きのことです。建築基準法第6条などに基づき、着工前に「建築確認申請」を行い、建築主事や指定確認検査機関の審査を受けます。


法律で定められた建蔽率(建ぺい率)や容積率、北側斜線などの高さ制限、シックハウス対策、居室の採光・換気の確保など、さまざまな観点から法令を遵守して建築される計画になっているかが確認されます。


建築確認は着工前の建築確認申請から始まり、工事の途中で行う中間検査、建物完成後の完了検査など、確認が必要なタイミングも建築基準法で定められています。

建築確認では、火災に強い構造などの防災上の基準、都市計画上の制限など、複数の法律の規制をクリアする必要があります。

「建築確認済証」と「検査済証」の違い(用語整理)

建築確認に関わる書類には、よく似た名前のものがいくつかあります。混同しやすいので、教科書的に整理しておきましょう。

  • 建築確認済証(確認済証)……建築確認申請の結果、建築計画が法令に適合していると確認された場合に、着工前に交付される書類。これがないと工事に着手できません。
  • 検査済証……建物の完成後に行う完了検査に合格したことを証明する書類。「計画どおり・法令どおりに完成した」ことを示します。

確認済証の交付を受けて初めて着工が可能になり、マンションや建売住宅などの場合は、売出広告も確認済証の交付を受けてから行うことになっています。そして、完了検査に合格すると検査済証が交付され、建物を適法に使用できるようになります。

検査済証のサンプル

着工前の建築確認申請から、着工後の中間検査、完成後の完了検査を経て、上記のような証明書が発行される、という流れです。


これらの証明書が住宅ローンを利用する際にも重要になります。その理由を確認していきましょう。

建築確認・検査の書類が住宅ローンの審査に必要

まず、金融機関は違法な建物を担保にお金を貸すわけにはいきません。法律の要件を満たしていない建物は、通常の物件よりも担保としての価値が下がるだけでなく、将来売却できない可能性が高まるためです。

そのため住宅ローンの審査では、建築計画が適法であること・適法に完成したことを示す確認済証や検査済証などの提出が求められます。これらの書類は、その住宅が建築基準法に適合していることを金融機関に対して証明するものです。

確認済証や検査済証が住宅ローン審査のどの時点で必要になるのか、審査の流れを確認しながら解説していきます。

住宅ローン審査の流れと提出が必要になるタイミング

  1. 住宅ローンの申込み
  2. 住宅ローンの事前審査(仮審査)
  3. 住宅ローンの本審査

建築確認に関する書類は、「3.住宅ローンの本審査」の段階で提出を求められるのが一般的です。その後、以下の手続きを経て住宅ローンが実行されます。

  1. 住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約)
  2. 融資の実行(住宅の引き渡し)

本審査で確認済証などの提出が求められても、通常は販売している不動産業者や家を建ててくれた工務店が用意してくれます。住宅ローンを申し込んだ金融機関側も手続きに慣れていて、入手方法などをサポートしてくれますので、通常であればこの書類が準備できないということはまずありません。

なお、提出書類や提出のタイミングは金融機関・商品によって細部が異なります。注文住宅で土地から購入する場合などは、土地の決済(融資)と建物完成後の融資を分けて実行する「分割融資」「つなぎ融資」を使うこともあり、必要書類が増えることがあります。詳細は申し込む金融機関に確認しておくと安心です。

フラット35は「適合証明書」も別に必要

全期間固定金利型の【フラット35】を利用する場合は、建築基準法上の確認済証・検査済証とは別に、住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す「適合証明書」が必要です。第三者である適合証明検査機関などの物件検査に合格すると交付され、資金の受け取り手続きを始める前に取扱金融機関へ提出します。

新築住宅の物件検査では、工事完了段階で技術基準への適合を現地で確認するとともに、建築基準法に基づく検査済証が交付されていることも確認されます。つまり【フラット35】では、完了検査を受けていない建物は事実上利用できません。また、2023年4月以後の【フラット35】は、すべての新築住宅で省エネ基準への適合が必須になっています。中古住宅を購入する場合も、原則として改めて適合証明書の取得が必要です(新築時に取得していた場合でも同様)。

2025年4月の法改正で変わった2つのこと

① 原則すべての新築住宅に「省エネ基準への適合」が義務化

住宅の建築に関わる法律は改正が多く、細かいルールも多岐にわたります。とくに大きな変更が、建築物のエネルギー消費性能を扱う建築物省エネ法です。

かつては中・大規模の非住宅などに限られていた省エネ基準への適合義務が、令和4年(2022年)の法改正により拡大され、2025年4月1日以降に着工する原則すべての新築住宅・非住宅に、省エネ基準への適合が義務づけられました。これまで努力義務だった省エネ性能の確保が、すべての建築主に求められるようになっています(国土交通省)。

住宅の場合に満たすべき基準は、外皮性能(断熱等性能等級4に相当)と一次エネルギー消費量(同等級4に相当)の2つです。断熱材や窓の性能だけでなく、給湯・冷暖房・照明といった設備の効率も含めて判定される点がポイントです。基準を満たさないと建築確認や完了検査が通らず、着工・引き渡しができません。つまり、住宅ローンを実行する前提となる建物の完成・引き渡しにも直結する重要なルールです。なお、既存建築物を増改築する場合は、増改築を行った部分についてのみ省エネ基準への適合が求められます。国は2030年を目途に、より高いZEH水準(断熱等性能等級5など)を住宅の標準とする方針も示しています。


私たち一般の消費者が建築基準法や省エネ法を細かく理解する必要はありませんが、市街化調整区域や農地など特殊な土地に注文住宅を建てるときや、省エネ性能のグレードを選ぶときは、注意しておくとよいでしょう。といっても、基本は不動産会社や工務店に念のため確認する程度で問題ありません。

② 「4号特例」の縮小——木造2階建ても構造審査の対象に

省エネ基準の適合義務化と同じ2025年4月1日に、建築確認そのものにも大きな見直しが施行されました。建築確認の審査の一部を省略できる制度、いわゆる「4号特例」の縮小です(令和4年改正建築基準法)。

従来は、木造2階建て以下・延べ面積500平方メートル以下などの小規模な建築物(旧4号建築物)は、建築士が設計すれば建築確認の際に構造関係規定等の審査が省略されていました。2025年4月以降は、この区分が「新2号建築物」と「新3号建築物」に再編されています。

区分該当する木造建築物建築確認での取り扱い
新2号建築物2階建て以上、または延べ面積200平方メートル超審査省略の対象外。確認申請書類に加えて構造関係規定等の図書と省エネ関連の図書の提出が必要
新3号建築物平屋建てかつ延べ面積200平方メートル以下建築士が設計する場合、従来どおり審査の一部を省略できる
出典:国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」等(2026年8月時点)。全国どの地域でも建築確認・検査が必要になります。

一般的な木造2階建ての注文住宅の多くは新2号建築物に当たるため、確認申請の書類が増え、審査にかかる期間も従来より長くなる場合があります。また、この改正により大規模なリフォーム(大規模の修繕・模様替え)でも建築確認申請が必要になるケースが増えており、中古住宅を購入してリフォームする資金を住宅ローンで借りる場合にも関わってきます。

引き渡しが遅れると、適用金利まで変わることがある

住宅ローンの観点で最も大切なのは、建築確認・完了検査が済まないと引き渡し・融資実行に進めないという点です。そして【フラット35】やほとんどの民間住宅ローンは、申込時ではなく「実行時(資金の受取時)の金利」が適用されます。手続きが1か月遅れると、そのまま適用金利が変わるということです。

実際、【フラット35】(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下)の最も多い金利は、2026年7月の年3.140%から8月は年3.290%へ0.150%上昇しました。当編集部が各金融機関の公式サイトで実測した2026年8月適用金利をもとに試算すると、借入3,000万円・35年・元利均等・ボーナス返済なしの場合、7月実行なら毎月約117,811円だったところが、8月実行では約120,364円となり、毎月約2,553円、35年の総額では約107万円の差が生じます(当編集部調べ・2026年8月4日確認の当社試算。事務手数料・保証料・登記費用などの諸費用は含みません)。

金利が上昇しやすい局面では、「書類が揃わずに引き渡しが翌月にずれた」ことが、そのまま数十万円〜百万円単位の負担増につながりかねないということです。2025年4月の法改正で確認申請の書類と審査項目が増えた今、資金計画やローン申込みのスケジュールには、これまで以上の余裕を持たせておきましょう。設計事務所・工務店・金融機関の三者で、着工・完了検査・引き渡しの予定日を早めに共有しておくことをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

建築確認済証や検査済証を紛失したら住宅ローンは組めない?

確認済証・検査済証は再発行されません。紛失した場合でも、建物の所在地を管轄する自治体で「建築計画概要書」や「台帳記載事項証明書」を取得し、確認・検査を受けた事実を示すことで代替できる場合があります。ただし金融機関や物件によって取り扱いが異なるため、早めに金融機関へ相談することが大切です。

中古住宅でも検査済証は必要?

必要かどうかは金融機関や物件によって異なります。古い住宅のなかには完了検査を受けておらず検査済証がない物件もあり、その場合は別の書類や調査で対応することがあります。検査済証の有無は資産価値や売却のしやすさにも関わるため、中古物件を検討する際は早い段階で確認しておきましょう。

建築確認が必要ない建物はある?

防火地域・準防火地域以外で増改築・移転する床面積10平方メートル以内の工事など、一部の小規模な工事では建築確認が不要となる場合があります。ただし新築の住宅は基本的に建築確認の対象です。判断に迷う場合は、設計・施工を担当する事業者や自治体に確認してください。

すでに建っている家が今の基準に合っていない場合、違法になる?

建てられた当時の基準に適合していれば、その後の法改正で基準が変わっても直ちに違法になるわけではありません(いわゆる「既存不適格」)。ただし増改築や用途変更を行う際には、現行基準への適合が求められます。古い住宅を購入して大規模なリフォームを予定している場合は、この点を踏まえて資金計画を立てましょう。

2025年の法改正で、住宅ローンのスケジュールにはどんな影響がある?

省エネ基準への適合義務化と4号特例の縮小により、建築確認申請で必要な図書や審査項目が増えたため、着工までの準備や審査に従来より時間がかかる場合があります。住宅ローンは建物の引き渡しに合わせて融資が実行されるため、引き渡しが遅れると適用される金利が実行月のものに変わり、入居時期や住宅ローン減税の適用年もずれることがあります。設計事務所・工務店とスケジュールを共有し、余裕を持った資金計画を立てておきましょう。

建築確認・完了検査の流れと必要書類、【フラット35】の適合証明書、そして2025年4月の法改正のポイントをあらかじめ理解し、スケジュールに余裕をもって進めておくことが、安心してマイホームを取得する第一歩になります。金利や制度の運用は変わることがあるため、最新の情報は国土交通省や各金融機関の公式サイトでご確認ください。

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