住宅ローン審査における勤続年数、年齢、健康状態について

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住宅ローン審査における勤続年数、年齢、健康状態について

住宅ローンは、個人が借りるローン商品の中でも特に厳格に審査されます。

カードローンなどの審査と比べて住宅ローンの審査は複雑です。住宅ローンは、数千万・数億円単位のお金を貸して、10年以上かけて返済されるため、金融機関としては、様々な観点で総合的に審査する必要があるためです。また、それらの審査基準も金融機関により大きくことなります。

この記事では住宅ローンの審査で必ず確認される「勤続年数」「年齢」「健康状態」について解説したいと思います。なお、「健康状態」は銀行ではなく保険会社が提供する団信の加入審査という形で審査されます。

マイホームは人生最大の買い物です。マイホームを買うために借りる住宅ローンは人生最大の借金です。

有利な住宅ローンを利用するためには、審査される点を把握しておくことが大切です。

住宅ローンの審査基準や落ちた理由は公表されない

住宅ローンの全ての審査基準を公表している金融機関はありまえん。

また、住宅ローンの審査で落とした人大して、なぜその人が審査に落ちたのかその理由を丁寧に教えてくれる金融機関もありません。住宅ローンの審査にはAIが活用されるようになって複雑化していて、金融機関側も簡単に教えることができません。

ただし、「勤続年数」「年齢」「健康状態」は比較的わかりやすい審査項目です。なぜなら、審査基準が明示されているケースが多い審査項目だからです。

それでは、主要な住宅ローンの審査で「勤続年数」、「年齢」、「健康状態」がどのように扱われているのか、順を追って確認していきましょう。

住宅ローンには「安定した収入」が必要

住宅ローンは、「何年もかけて返済するローン」です。そのため、審査では「継続的かつ安定的な収入が期待できるか」が重要視されます。

収入の安定度を図る指標の1つが「勤続年数」です。また、勤め先(会社)も併せて確認されます。

どんな会社でどれぐらいの間働いているかという点から、安定して収入を得られる可能性が高い人なのかが判断されることになります。

会社や仕事を頻繁に変えたりする人よりは、長く勤めている人の方が高く評価されますし、中小企業よりは大企業や公務員の方が高く評価されます。

一般的に住宅ローンを問題なく申し込める勤続年数は「3年以上」と言われています。もちろん、3年未満の勤続でも勤務先が大手企業であったり企業背景がしっかりしていると判断されれば短い勤続年数でも審査に通る可能性はあります。自営業・個人事業主の場合も同様で「勤続年数」の代わりに「起業後の経過年数」が審査の材料になります。サラリーマンや公務員と異なり、自営業・個人事業主の場合、3年以上の事業継続年数は必須に近いような状況で、フラット35以外では起業直後に住宅ローンを契約するのは難しいのが実情です。

主要ネット銀行の勤続年数の基準

以下は主要金融機関の住宅ローンの審査における勤続年数の条件を整理した比較表です。

金融機関勤続年数の基準
auじぶん銀行条件なし
SBI新生銀行2年以上
イオン銀行会社員6ヶ月以上、自営業者3年以上
りそな銀行1年以上
住信SBIネット銀行条件なし
ソニー銀行条件なし
ARUHI(旧SBIモーゲージ/フラット35)条件なし

最近は住宅ローンの審査も多様化してきているので、人気を集める住宅ローンは「勤続年数を一律に定めない」傾向が強くなってきています。

「一律に定めないだけ」なので、転職したばかりと勤続10年が同じ評価になるわけではありませんし、独立したばかりの自営業者よりは勤続年数が長いサラリーマンのほうが審査は通りやすくなるでしょう。

なお、SBI新生銀行の2年は「1つの会社」である必要はありません。複数の企業だとしても、間を明けずに働き続けていれば、この条件を満たすことができます。

自営業・個人事業主や中小企業勤務で働く人より大企業に勤める人の方が住宅ローンの審査では有利とされています。大企業の方が雇用が安定しているのがその理由です。また、中小企業のオーナー社長はもちろん、代表取締役社長、取締役などの「経営者」は住宅ローンの審査では不利とされています。

盤石の経営基盤があれば別ですが、「安定的な収入」と言うよりも「成功すれば資産家になれるかもしれない」が「会社の借り入れの保証人になっていたり」、「雇用保険に加入していないので収入が途切れやすい」と言う不安定さがあることがその理由です。

年齢について

年齢制限はほとんど同じです。借入時の年齢だけでなく完済時の年齢も定められています。完済時の年齢は80歳が標準的です。以下は主要な住宅ローンの年齢基準です。

 借入れ時年齢完済時年齢
auじぶん銀行満20歳以上満65歳未満満80歳未満
SBI新生銀行満20歳以上満65歳未満満80歳未満
イオン銀行満20歳以上満71歳未満満80歳未満
りそな銀行満20歳以上満70歳未満満80歳未満
住信SBIネット銀行満20歳以上満65歳未満満80歳未満
ソニー銀行満20歳以上満65歳未満満80歳未満
ARUHI満70歳未満満80歳未満

なお、完済時年齢が満80歳未満でほぼ統一されている大きな理由は住宅ローンと同時に申し込むことになる団信(団体信用生命保険)が80歳までが加入可能となっているためです。80歳完済を守りながら35年返済で住宅ローンを借りるには45歳までに住宅ローンを契約する必要があります。

45歳を過ぎても完済時の年齢を80歳未満になるように返済期間を調整することで住宅ローンを借りることは全く問題ありません。ただし、返済期間が短くなると毎月の返済負担は増加してしまいますので、家計の支出をしっかりと確認しておくようにしましょう。

特に、65歳~70歳ぐらいで収入が途絶えるか大きく減少することになります。老後の生活を安定させるために退職金を使って返済することも想定してシミュレーションを立てるなど、退職後の生活についても意識するようにしましょう。

もちろん、理想は現役で働いていて収入が大きい間にローンを完済してしまうことです。「老後は2000万円以上の費用」が必要と言われている昨今、退職後のライフプランなどを立てやすくするためにも何歳でローンを完済するのかを意識して借り入れるようにしましょう。

健康状態について

健康状態は”銀行”は審査する能力はありません。その代わり、「団信」という商品を活用して「保険会社に契約者の健康状態に対するリスク」を転嫁するような仕組みが採用されています。

指定する団信(団体信用生命保険)に加入することを必須とすることで、団信に加入できない人(持病、病歴がある人)への貸し出しを抑止しながら、死亡した際などに保険金で住宅ローンを完済してもらえるような仕組みが構築されています。

過去に大病を患ったり、現在治療中の病気があると住宅ローンを諦めるしかないのか、と言うとそんなことはありません。保険料を負担する必要がありますが、通常の団信よりも加入条件が緩和されているワイド団信を利用することで住宅ローンに加入できる仕組みも同時に構築されていますし、国の支援で成り立っているフラット35であれば団信に加入しなくても契約できるようになっています。

ワイド団信について詳しく説明したこちらの記事も参考にしてみてください。
住宅ローンのワイド団信とは? 高血圧、糖尿病、うつ病でも利用可能?!

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