住宅ローンの審査は、住宅ローンを契約する人の信用力や返済能力の審査が中心ですが、もう1つ重要になるのが、担保となるマイホーム(物件)に対する審査です。マイホームの審査とは、いわゆる「担保評価」「担保価値」の確認のことです。
住宅ローンを契約する人の審査は、その人の年齢や勤務先・勤続年数・年収など、様々な観点から審査を行うことで、その人の信用度や、将来を通じて安定した収入が得て住宅ローンを返済してくれるのかを確認することを目的に行われます。
それでは、物件の審査はどのようなものなのでしょうか。また、物件の評価が低くなるのはどんな場合なのでしょうか?物件評価が住宅ローンの審査にどのような影響があるのでしょうか?
この記事ではこのような観点から住宅ローンの審査について解説していきたいと思います。
住宅ローンの担保評価とは?
住宅ローンは、何千万円~数億円もの高額なお金を貸すことになる金融商品です。収入だけでなく現時点の勤務先や勤続年数(職歴所)や健康状態など、様々な観点で総合的に審査されます。
カードローンなどの少額のローンに比べるとかなり厳格に審査されます。
前述した通り、住宅ローン審査には契約者(人物)の審査と購入する物件への審査があります。契約者(人物)の審査ではこの人は返済がきちんとできるかどうかという観点を審査し、物件の審査ではその文献の担保価値を評価すること、です。
担保評価額とは、住宅ローンの融資に担保として設定する不動産(土地や建物)の評価額のことです。
銀行が住宅ローンを融資をするときには、契約者が返済できなくなった場合に貸出金を回収できるように、不動産などの担保をとります。担保とは、返済してもらえない状態になった時に、それを売って、資金を回収する権利のことで、その物件が資金回収できるだけ価値ががあるかどうかを評価するのが担保評価になります。
不動産の担保評価額は、まず、金融機関が競売での落札相場を算定し、それに金融機関ごとの一定の掛目を掛けて算出します。担保の掛目は住宅ローンの種類や保障機関の有無によりますが、概ね70パーセント程度に定めらています。
この担保から計算した担保評価額に契約者(人物)の評価を加味して融資可能金額を決定します。従って、物件の担保評価額が低いと、借り入れ可能額が減り、希望金額を借りられなくなる可能性があります。
次に、担保評価額が低くなるのは事例について解説していきます。一般的な新築戸建てやマンションを購入する場合はあまり気にしなくて良いと思いますが、中古の戸建てや一部の新築戸建て住宅を購入する場合は事前に確認しておくと良いでしょう。
担保評価が低くなる事例
傾斜地
傾斜地とは、宅地造成等規制法施行令1条2項に定義が定められています。「この政令において崖とは地表面が水平面に対して30度を超える角度をなす上地で硬岩盤以外のものをいい、崖面とはその地表面をいう」と定められた土地になります。
崖と言われると、海や山をイメージしがちですが、傾斜のある土地のことを法令で法地(のりち)や崖地といいます。
この法地・崖地には利用制限があり、15度以上の傾斜がある場合は利用不可能です。
法地・崖地を含む土地は、その土地の部分部分の傾斜度に分けて、減価されていくことになります。15度以上は20〜50%の減価、15度未満においては10〜30%の減価が一般的な数字です。
このように、傾斜がある土地の場合は、同じ広さの土地でも担保価値が減額されることになります。なお、傾斜地に関しては、災害のリスクも一定にありますので利用用とは慎重に考えるようにしましょう。
法地・崖地は「眺望が良くて、気持ちいい!」といったメリットもあり、有効活用することもできますが、担保評価の観点ではこのようなデメリットがある点を理解しておきましょう。
私道への立ち入りが必要な場合
当たり前のことですが、購入した土地や物件には出入りする必要があります。
その土地に出入り可能な道路が公道であれば誰でも通行可能ですが、私道の場合には評価が低くなります。
私道は第三者が所有している道です。さらに私道は二通りに分かれます。
- 地主の所有物
売主が保有している土地の一部を売買するケースのことです。土地の売買時に、その私道の利用料が含まれているケースが多いでしょう。場合によっては、別途通行料を支払う必要があるケースもあります。
- 周辺住民の共有
その私道が周辺住民の共有の私道となっているケースがあります。
一般的には、共有されている私道を登記をする必要はなく、前の所有者が私道を日常的に使用していた場合は、原則として購入者も私道の利用権を引き継ぐことになります。
なお、私道の状態が良くない場合、住民対地主や住民の間でトラブルが発生していて、メンテナンスができていない可能性もあります。
私道は公道とは違ってトラブルが発生しがちなことからも担保評価の面では不利になります。
また、私道のトラブルはマイホーム購入後の日常生活に影響を与えますので、権利関係だけではなく現況もしっかり確認するようにしましょう。近隣住人に話を聞いてみるのも良いでしょう。
住宅ローンの担保評価が低い場合の対応策
担保評価が低い場合には住宅ローン審査に不利になるのは事実です。
ただし、住宅ローンの審査は、契約者本人の人物と建物の2つの評価を行います。無理をした金額を借りなければ問題にならないことの方が多いでしょう。
例えば、担保評価の高いマンションを購入しようとしたとして、収入がほとんどない場合に審査が通るでしょうか?通りませんよね。逆に担保評価が低い物件だったとしても公務員や大企業に勤務している場合には審査が通る可能性が高いのも事実です。
建物の評価よりも人物の評価が重要視される傾向があり、住宅ローンの審査で一番重要なことは「安定した収入」があることになります。もう1つ大事なことは「個人の信用情報に問題がない」ことです。
担保評価が低い物件を購入する場合でも、この2つのポイントを注意しておけば住宅ローン審査に通る可能性が高くなります。