一般的に住宅ローンは最大35年の返済期間が上限として定められています。
今でも大半の住宅ローンの返済期間の上限は35年であることは変わりませんが、一部の金融機関では返済期間を最長50年とすることができる「50年住宅ローン」を取り扱っています。
このフラット50とは、どういった商品なのでしょうか。
この特集ページではフラット50の利用条件やメリット・デメリット、取り扱っている金融機関などについて紹介します。あわせてフラット35との借入シミュレーションを比較し、フラット50の特徴を把握しましょう。
目次
フラット50が登場した背景
耐久性の高い「長期優良住宅」の普及が進められ、同時に日本の金利が低下していくなかで登場したのが「50年住宅ローン」で、その代表的な商品が「フラット50」です。
最長で50年間借りることができるフラット50は、フラット35と同様に住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供している全期間固定金利型の住宅ローンです。そのため利用するにはいくつかの条件があります。長期優良住宅(省エネ・耐久性に優れた住宅)に認定された物件を取得する場合に利用できるのもその条件の1つですが、詳しい融資条件を確認してみましょう。
フラット50の利用条件
最長50年という長期間の融資を行うため、フラット50の利用には一定の条件があります(以下は住宅金融支援機構 公式の最新条件〔2026年8月時点〕にもとづきます)。
住宅条件
耐久性の高い長期優良住宅などに認定されている必要があるほか、以下のような条件を満たす必要があります。
- 住宅金融支援機構の定める技術基準に適合していること
- 床面積が「一戸建て住宅・連続建て住宅・重ね建て住宅:50㎡以上/共同住宅(マンション等):30㎡以上」(2026年4月1日以降に物件検査の手続をする住宅から、一戸建ての下限が70㎡以上→50㎡以上へ緩和。2026年3月31日以前に手続をした住宅は70㎡以上)
- 長期優良住宅、予備認定マンション、管理計画認定マンションのいずれかであること
フラット50の融資対象は、耐震性・省エネ性などの基準を満たした長期優良住宅などに限られます。基準を満たさない物件では利用できないため注意が必要です。
借入額・融資率
- 借入可能額:100万円以上1億2,000万円以下(1万円単位。2026年4月に上限が8,000万円から1億2,000万円へ引き上げ)
- 融資率:建設費・購入価額の9割以内(フラット50単独の場合)
- フラット35またはフラット20を併用する場合は、合計で200万円以上1億2,000万円以下、かつ建設費・購入価額以内(この場合もフラット50単独の融資率上限は9割)
年齢条件
- 申込時の年齢が満44歳未満
- 完済時の年齢が80歳以下
完済時年齢が80歳以下という条件があるため、最長の50年で借入するには申込時に30歳未満である必要があります(例:35歳で申し込む場合、選べる返済期間は36年〜45年)。
親子リレー返済(最初は親が返済し、一定のタイミングから後継者である子へ返済を引き継ぐ契約方法)を利用する場合は、後継者である「子」の年齢で判定されるため、満44歳以上の人でも申込みが可能になります。
フラット50のメリット
50年もの長期間で借入ができるフラット50には、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
毎月の返済額を抑えられる
フラット50の最大のメリットは、返済期間を最長50年とすることで毎月の返済額を抑えられることです。
毎月の返済額を抑えることは年間の返済負担率の低減につながるため、年収などの条件が同じであれば、35年の住宅ローンよりも価格の高い住宅を購入できる可能性が高まります。
利用条件である耐久性の高い住宅(長期優良住宅)は建設費用が高くなりがちですが、購入後のメンテナンス性や耐久性に優れています。35年ローンでは返済負担が重くて手が出なかった価格の住宅でも、フラット50なら毎月の返済を無理のない範囲に収められる可能性があります。
金利引継特約(アシューマブルローン)付き
金利引継特約(アシューマブルローン)とは、フラット50の返済中に融資物件を売却する場合、その物件の購入者にフラット50の債務を引き継げる特約です。借入時より金利が上昇している局面では、低い金利で契約したフラット50を引き継げるため、売却しやすくなるというメリットがあります。
金利引継特約(アシューマブルローン)についての詳細はこちらを参照してみてください。
金利上昇リスクがない
フラット50はフラット35と同様、返済終了まで金利が変わらない全期間固定金利型の住宅ローンです。この先、住宅ローン金利がどれだけ上昇しても契約時の金利が適用され、返済額が増えることはありません。2026年8月資金受取分のフラット35(返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下)の最も多い金利は年3.290%と、前月の年3.140%から上昇し、現行制度になった2017年10月以降で最も高い水準になりました。金利が上がる局面が続くなかで、長期にわたり金利上昇を気にせず返済できる点は、あらためて見直されている安心材料です。
フラット35との併用が可能
前述のとおり、フラット50単独の融資率の上限は9割です。しかしフラット35やフラット20を併用できるため、物件価格までの借入れを希望することが可能になります。
フラット50のデメリット
ではフラット50にデメリットはないのでしょうか。
フラット35よりも金利が高い
住宅ローンの総返済額の多くは「金利」と「返済期間」で決まります。フラット50はフラット35よりも金利が高く、さらに返済期間も長いため、総返済額は大きくなりやすいというデメリットがあります。
参考として、2026年8月資金受取分の最も多い金利(新機構団信付き)は次のとおりです(住宅金融支援機構 公表値。実際の借入金利は取扱金融機関により異なります)。
| 商品(返済期間) | 融資率9割以下 | 融資率9割超 |
|---|---|---|
| フラット20(20年以下) | 年2.970% | 年3.080% |
| フラット35(21年以上35年以下) | 年3.290% | 年3.400% |
| フラット50(36年以上50年以下) | 年3.500% | 年3.610% |
※2026年8月資金受取分・新機構団信付きの「最も多い金利」です(住宅金融支援機構が公表する提供金利の範囲と最頻値より)。
同じ融資率9割以下で比べると、フラット50はフラット35より年0.210%高いことがわかります。金利タイプには一長一短があるため一概にどちらが正解とは言えませんが、次の章でフラット50とフラット35の返済シミュレーションを比較してみましょう。
返済期間が超長期になる
デメリットの2つ目は、返済期間が非常に長いことです。
フラット50は返済期間が長いぶん月々の返済額は抑えられますが、その分だけ総返済額は大きくなります。たとえば25歳で契約した場合、35年ローンなら60歳で完済しますが、50年ローンでは75歳まで返済を続けることになります。
定年が後ろ倒しになる傾向はあるものの、最長50年もの長期返済が続くため、退職後も返済が残る可能性が高くなる点に注意が必要です。親子リレーローンを使うかどうかも含め、退職後のライフプランや収入をしっかり考えておくべきでしょう。
理想としては、月々の返済額を抑えられるぶん貯蓄を進め、繰上返済をうまく使って返済期間を短くしていく方法も有効です。
フラット50とフラット35の返済シミュレーション
フラット50とフラット35では、毎月の返済額と総返済額にどの程度の違いが出るのでしょうか?
2026年8月時点の最も多い金利(融資率9割以下)をもとに、借入3,000万円・元利均等返済・ボーナス返済なしで試算してみましょう。
(以下の試算では、事務手数料や団信の上乗せ分などは加味していません。実際の返済額は金利や条件により異なります。)
| 比較項目 | フラット50 | フラット35 |
|---|---|---|
| 金利タイプ | 全期間固定 | 全期間固定 |
| 借入期間 | 50年 | 35年 |
| 返済方法 | 元利均等返済 | |
| 借入金額 | 3,000万円 | |
| 適用金利(2026年8月・最頻) | 年3.500% | 年3.290% |
| 毎月の返済額 | 約10.6万円 | 約12.0万円 |
| 総返済額 | 約6,358万円 | 約5,055万円 |

比較すると、毎月の返済額はやはりフラット50が少なく、フラット35より毎月およそ1.4万円抑えられます。ただし借入期間が15年長く金利も高いぶん、総返済額は約1,300万円多くなります。毎月の返済額と総返済額のどちらを重視するかで、考え方が分かれるところです。
50年という長い期間のなかで収入増が期待できるなら、最初はフラット50で借り入れ、余裕資金で繰上返済していくという方法も選択肢の1つと言えそうです。
一方、重視する点が「毎月の返済額を抑えたい」ということであれば、auじぶん銀行やPayPay銀行などの変動金利型住宅ローンも候補になります。金利が低いぶん総返済額を抑えやすいのが特徴です。諸費用面の分かりやすさで選ぶなら、保証料や一部繰上返済手数料が0円で店舗とオンラインの両方に対応するSBI新生銀行も、検討に値する選択肢の1つです(各行の適用金利・条件は毎月見直されるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください)。
もちろん変動金利型は将来の金利上昇リスクがあるため、金利上昇に備えたい人にはフラット50のような全期間固定が向いています。金利タイプの特徴を踏まえて選びましょう。
フラット50の取り扱い金融機関
フラット50は、フラット35ほど多くはないものの、地方銀行やモーゲージバンクなど幅広い金融機関で取り扱われています。フラット35最大手のSBIアルヒ(旧ARUHI)も2022年8月から「ARUHIフラット50」を取り扱っており、2026年3月2日からは借り換えにも対応しています。
フラット50もフラット35と同様、金融機関によって手数料や金利、取り扱いの有無が異なります。利用を検討する場合は、取扱金融機関や条件を事前に確認しておきましょう。
お近くの金融機関で取り扱いがあるかは、住宅金融支援機構の公式サイトから検索できます。
フラット50に関するよくある質問(FAQ)
Q. フラット50は借り換えにも使えますか?
取り扱う金融機関によって異なります。たとえばSBIアルヒの「フラット50」借換は2026年3月2日から取り扱いが始まりました。申込時の年齢が満44歳未満で、融資対象物件が長期優良住宅・予備認定マンション・管理計画認定マンションのいずれかに該当する場合に利用できます。なお借り換えの借入期間の上限は、「80歳-借り換え申込時の年齢」と「50年-住宅取得時に借り入れた住宅ローンの経過期間」のいずれか短い年数とされています(同社公表条件)。借り換えでフラット50を利用したい場合は、対応している金融機関か事前に確認しましょう。
Q. フラット50は途中でフラット35のように繰上返済できますか?
できます。フラット50も一部繰上返済・全額繰上返済が可能で、繰上返済手数料はかかりません。金額は金融機関の窓口では100万円以上から、返済中のお客さま向けインターネットサービス「住・My Note」を使えば10万円以上から手続きできます。返済期間が超長期になりやすいフラット50では、余裕資金での繰上返済が総返済額を抑えるうえで有効です。
Q. フラット50はどんな住宅でも使えますか?
使えません。フラット50は長期優良住宅・予備認定マンション・管理計画認定マンションのいずれかに認定された住宅が対象で、一般の住宅では利用できません。まず取得予定の物件が対象になるかを確認する必要があります。
Q. 団信に加入できない場合でもフラット50は利用できますか?
健康上の理由などで新機構団信に加入されない場合でも、フラット50を利用することはできます。その場合の借入金利は新機構団信付きの金利から年0.200%引き下げられます(2026年8月時点。融資率9割以下の最頻金利で考えると年3.300%が目安)。詳細は各取扱金融機関でご確認ください。
Q. フラット50の金利は毎月変わりますか?
借入後の金利は完済まで変わりませんが、適用されるのは「資金を受け取った月」の金利で、その水準は毎月見直されます。申し込み時点の金利ではないため、実行月がずれると適用金利も変わる点に注意してください。最新の金利は住宅金融支援機構の公式サイトで毎月確認できます。
まとめ
フラット50は、返済期間を延ばすことで月々の返済額を抑えられるため、まだ収入が少ない20代でも、若さを武器に優良住宅を購入するチャンスを与えてくれる可能性のある住宅ローンです。
定年が後ろ倒しになり現役期間が長くなる時代には、今よりも注目を集める住宅ローンになる可能性があります。
また、親子リレーローンを活用して、たとえば親子での二世帯住宅を購入し、一定期間は親が返済して残りを子が返済する、といった使い方も考えられます。
ただし、フラット50のように50年もの超長期で借り入れると、どうしても総返済額は大きくなります。これはデメリットの1つですが、反面、金利上昇リスクを気にする必要がないという大きなメリットもあります。今回解説した特徴やメリット・デメリットをよく理解したうえで利用しましょう。
金利タイプは異なりますが、auじぶん銀行のような変動金利型の住宅ローンや、諸費用がわかりやすいSBI新生銀行なども、状況に合わせて比較・検討すると良いでしょう(金利・条件は変わるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください)。
※本記事の金利・条件は2026年8月時点のものです。最新の取り扱い状況は必ず各金融機関の公式サイトをご確認ください。










