
2022年6月20日にSBI新生銀行で住宅ローンの借換に限定したキャンペーンがスタートしました。
今回のキャンペーンの内容は、金利の引下げだけでなく、事務手数料の割引も含まれています。金利が低い住宅ローンへの借り換えを検討している方はもちろん、「本当は借換をしたいけど、コスト面が気になって行動に移せなかった」という方は、キャンペーンの内容を確認することをおすすめします。

遠藤功二(えんどう こうじ)
1級FP(1級ファイナンシャルプランニング技能士)
CERTIFIED FINANCIAL PLANNER、経営管理専攻修了(MBA)
三菱UFJモルガンスタンレー証券、オーストラリア・ニュージーランド銀行にて延べ1,000人以上の顧客の資産運用アドバイスを担当。 現在は独立系FPとして、投資に限らずライフプランニング、保険、住宅などの幅広い分野で相談、講演、執筆業務に携わる。
目次
住宅ローン借り換えキャンペーンの内容
ここからは、今回のSBI新生銀行の住宅ローン借り換えキャンペーンの内容を解説していきます。チェックするポイントは以下のとおりです。
- 選択する金利プランによって金利引下げ幅が違う
- 事務手数料が実質無料になるケースもある
- キャンペーン期間は2022年12月16日申込まで
- 500万円以上の借換が対象
選択する金利プランによって金利引下げ幅が違う
今回のキャンペーンの対象は、変動金利(半年型)タイプ<変動フォーカス>、変動金利(半年型)タイプ、当初固定金利タイプの3つの金利タイプが対象です。SBI新生銀行には、段々と金利が下がっていくステップダウン金利タイプと、完済まで金利が変わらない長期固定金利タイプがありますが、この2つの金利タイプはキャンペーンの対象外です。
変動金利(半年型)タイプ<変動フォーカス>のキャンペーン内容
変動金利(半年型)タイプ<変動フォーカス>は借入金利から年0.1%が引下げられます。2022年6月1日時点の、借入金利は年0.45%なので、キャンペーン適用後は年0.35%になります。
変動金利は半年に1度、金利の見直しがあります。近年低金利が恒常化しているため、見直し時に金利の変更がないケースがほとんどでした。しかし、今後も金利が上昇しない、という保証は誰にもできません。もし、借入金利が上昇した場合でも、金利プランを変更しない限りは年0.1%の引下げ幅は維持されます。
なお、変動金利(半年型)タイプ<変動フォーカス>の事務手数料は「借入金額×2.2%(消費税込)」であり、キャンペーンによる割引はありません。
変動金利(半年型)タイプ、当初固定金利タイプのキャンペーン内容
この2つの金利タイプの金利引下げ幅は、年0.05%です。上述の変動金利(半年型)タイプ<変動フォーカス>より引下げ幅が小さい理由は、事務手数料の割引も併用できるからです。
ただ、当初固定金利タイプを選択する方は注意が必要です。年0.05%の金利引下げは、当初借入金利適用期間終了までしか適用されません。何も指示をしないと当初借入金利適用期間終了に変動金利に変わります。その場合の変動金利の利率は、変動金利(半年型)タイプ<変動フォーカス>または変動金利(半年型)タイプを最初から選んでいた場合よりも高くなってしまいます。
当初固定金利タイプを選択する場合は、20年固定などの当初借入金利適用期間が長いタイプを選べば、長期間キャンペーンの恩恵を受けられます。
事務手数料が実質無料になるケースもある
今回のキャンペーンでは、変動金利(半年型)タイプ、当初固定金利タイプを選択した方のみ、借入金利の引下げに加えて、事務手数料から55,000円が割引かれます。
この2つの金利タイプの事務手数料は、定額型です。安心パックが付いていない「一般団信」または「ガン団信」を利用するプランの場合の事務手数料は、55,000円(消費税込)のみとなります。55,000円のキャンペーン割引を適用すると無料になります。
団信に介護保障が付いた「安心保障付団信」を選択する場合は、「安心パック」に加入する必要があります。安心パックは事務手数料が110,000円(消費税込)です。安心パックには、団信に介護保障が付くだけでなく、返済をした場合に家計の状況に応じて返済をお休みできる「コントロール返済」が付いています。
さらに、安心パックに病児保育サービスや家事代行・クリーニングサービスが付いた安心パックWを選択した場合、安心パックに災害時債務免除特約が付いた安心パックSを選択した場合の事務手数料は165,000円(消費税込)になります。
今回のキャンペーンは、安心パックを安価な事務手数料で利用できるプランという見方もできます。
ただし注意点があります。安心パックWは借入額1,500万円以上、借入期間25年以上、サービス提供会社の対応地域に住んでいること、変動金利タイプの選択では使えない(ステップダウン金利タイプも不可)、などの条件があります。
安心パックSも、建物が1982年以降の建築であること、借入額1,500万円以上、借入期間25年以上、ボーナス返済なし、金利タイプは当初固定金利タイプ(15年、20年)、長期固定金利タイプ(25年、30年、35年)を選択していること、などの条件があります。(長期固定金利タイプは今回のキャンペーン対象外)
興味がある方は、SBI新生銀行のウェブサイトの内容を良く確認しましょう。
500万円以上の借換が対象
キャンペーンの利用には、500万円以上の借換が必要です。ペアローンの場合は、2名の合算した金額で500万円以上なら対象になります。
どのプランを選ぶのが正解?
事務手数料割引を諦めて変動金利(半年型)タイプ<変動フォーカス>を選び、年0.1%の借入金利の引下げを取るか、変動金利(半年型)タイプ、当初固定金利タイプを選んで借入金利と事務手数料の両方の優遇を取るかを悩ましく感じる人がいると思いますので、参考として下記の条件で経済的メリットを比較してみたいと思います。
借換金額:3,000万円
借換後の返済期間:30年
借入金利:2022年6月1日時点のSBI新生銀行の金利を使用、金利の変動はないものとする
返済方法:元利均等返済
変動金利(半年型)タイプ<変動フォーカス>のキャンペーンを利用した場合
通常時 | キャンペーン利用時 | |
借入金利 | 年0.45% | 年0.35% |
支払利息(30年合計) | 2,075,974円 | 1,606,739円 |
事務手数料(消費税込) | 660,000円 | |
キャンペーン利用メリット | 469,235円 |
※キャンペーン利用メリットは支払利息の差額になります。
変動金利(半年型)タイプのキャンペーンを利用した場合(安心パック利用)
通常時 | キャンペーン利用時 | |
借入金利 | 年0.65% | 年0.60% |
支払利息(30年合計) | 3,027,933円 | 2,788,274円 |
事務手数料(消費税込) | 110,000円 | 55,000円 |
キャンペーン利用メリット | 239,659円 |
※キャンペーン利用メリットは支払利息と事務手数料の差額になります。
この例だけを見ると、変動金利(半年型)タイプ<変動フォーカス>を選ぶのがお得にみえます。
しかし、団信が発動し住宅ローンがなくなった場合や繰上返済を積極的に進めた場合は、初期コストが低い手数料が定額型のタイプを選んだ方が良かった、というケースもあります。
また、金利上昇リスクを鑑みた場合、固定金利タイプを選択するのが正解だった、ということもあり得ます。
自身の考えをしっかりもって、選択をしましょう。
まとめ
上記で示したのは、あくまでもキャンペーン利用時の経済的メリットです。返済中の住宅ローンからSBI新生銀行の住宅ローンに借り換えた際の支払利息軽減効果は、同行の住宅ローンシミュレーションで計算してみましょう。
また、借換には、抵当権の抹消と設定、司法書士報酬などの諸費用が別途かかる点には注意が必要です。SBI新生銀行は、担当者が相談対応をしてくれます。不安な方は問い合わせをしてみましょう。
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