預金保険制度(ペイオフ)とは|保護される1,000万円と対象外の預金

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預金保険制度で守られる預金と対象外の預金のイメージ

預金保険制度とは、銀行などが破綻しても、預けたお金を国の法律に基づいて一定額まで守る仕組みのことです。利息のつく普通預金や定期預金は、1つの金融機関ごとに1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息が保護されます。

利息のつかない決済用預金は金額に関係なく全額が守られる一方で、外貨預金は保護の対象外です。この違いを知らずに預け先を選ぶと、同じ1,000万円でも守られ方が変わります。本記事の内容は2026年10月時点で預金保険機構の公表資料を確認したものです。

預金保険制度は、破綻した金融機関に代わって預金を守る公的な保険

預金保険制度は預金保険法で定められ、預金保険機構が運営しています。目的は預金者を守ることと、送金や振込みなどの資金決済を途切れさせないことの2つです。

この保険は、対象の金融機関に預金をした時点で自動的に成立します。保険料は金融機関が預金保険機構に納めるため、預金者が加入の手続きをしたり、保険料を負担したりする必要はありません。

制度の話でよく出てくる「ペイオフ」という言葉には、2つの使われ方があります。日本銀行の解説によると、1つは預金保険機構が預金者へ保険金を直接支払う破綻処理の方式を指し、もう1つは預金の一定額しか保護されないことを指します。

保護の範囲は、預金の種類によって3つに分かれる

預金保険の守り方は、預金の種類によって変わります。預金保険機構は預金を「決済用預金」「一般預金等」「対象外の預金等」の3つに分けて扱いを定めています。自分の預金がどれに当たるかで、破綻時に戻る金額が変わります。

区分 主な預金 保護される範囲
決済用預金 当座預金、利息のつかない普通預金、別段預金の一部 全額
一般預金等 利息のつく普通預金、定期預金、通知預金、貯蓄預金、納税準備預金、定期積金、元本補てん契約のある金銭信託、保護預り専用の金融債 1金融機関ごとに1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等
対象外の預金等 外貨預金、譲渡性預金、無記名預金、オフショア預金、募集債の金融債と保護預り契約が終了した金融債、他人名義・架空名義の預金 保護なし(破綻した金融機関の財産の状況に応じて支払われ、一部カットされることがある)

※2026年10月に預金保険機構の「対象預金」「保護の範囲」のページで確認。預金保険機構 対象預金/預金保険機構 保護の範囲

一般預金等で元本1,000万円を超えた部分も、対象外の預金等と同じように扱われます。財産の状況しだいで一部が戻る可能性はありますが、確実に戻る金額とは考えないほうが安全です。

全額保護の決済用預金は、無利息・要求払い・決済サービスの3要件で決まる

決済用預金とは、利息がつかないこと、いつでも払戻しを請求できること、決済サービスを提供できることの3つを満たす預金のことです。公共料金の口座引落としや給与の受取りに使える預金がこれに当たります。

よくある誤解は、普通預金ならすべて全額保護されるという思い込みです。全額保護になるのは利息のつかないタイプだけで、金利が少しでもつく通常の普通預金は一般預金等として1,000万円の枠に数えられます。

決済サービスの要件は、実際に口座引落としを使っているかではなく、商品として決済に使えるかどうかで判断されます。無利息型の普通預金の名称や切替えの手続きは金融機関ごとに異なるため、取引先の窓口で確かめる必要があります。

1,000万円の枠は、金融機関ごと・預金者ごとに合算して数える

一般預金等の1,000万円は口座ごとの上限と思われがちですが、同じ金融機関に複数の口座がある場合は、支店が違っても1人分にまとめて計算します。この合算作業を名寄せと呼び、預金保険機構が行います。

名寄せで同じ人として扱うか、別の人として扱うかは、預金の名義と立場で決まります。預金保険機構のよくある質問をもとに、迷いやすい例を整理すると次のとおりです。

  • 夫婦や親子の預金は、名義ごとに別の預金者として、それぞれに1,000万円の枠があります。
  • 家族の名義を借りただけの預金は他人名義預金にあたり、保護の対象外です。
  • 個人事業の預金は、同じ人の個人用の預金と合算されます。
  • 法人の預金は、本社と支店の口座をまとめて1つの預金者として扱われます。
  • 財形貯蓄に使われた預金も、積み立てている個人のほかの預金と合算されます。

金融機関が合併した場合には、合併後1年間に限って枠を広げる特例があります。2行が合併したときは、1人当たり元本2,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。1年を過ぎると1,000万円の枠に戻るため、合併の知らせを受けたら預け方を見直す時期です。

1,000万円を超えたときは、法律で決まった順番で保護される預金が決まる

一般預金等の合計が1,000万円を超えると、どの預金を保護に充てるかが預金保険法の順番で決まります。順番は、担保に入っていない預金、満期の早い預金、満期が同じなら金利の低い預金の順です。

このため、普通預金が先に保護され、次に満期の早い定期預金、最後に満期が遅く金利の低い定期預金の順になります。高い金利で長く預けた定期預金ほど、1,000万円の枠からはみ出しやすい仕組みです。

対象になる金融機関と、別の制度で守られる金融機関

預金保険の対象は、日本国内に本店がある銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫などで、ゆうちょ銀行も対象金融機関に含まれます。店舗を持たないネット銀行も、国内に本店がある銀行であれば同じ扱いです。

区分 金融機関の例 守る仕組み
預金保険の対象 国内に本店がある銀行(ゆうちょ銀行を含む)、信用金庫、信用組合、労働金庫、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、商工組合中央金庫 預金保険制度
預金保険の対象外 上記の金融機関の海外支店、外国銀行の在日支店、政府系金融機関 預金保険の保護なし
別の制度に加入 農業協同組合、漁業協同組合、農林中央金庫など 農水産業協同組合貯金保険制度
別の制度に加入 証券会社/保険会社 投資者保護基金/保険契約者保護機構

※2026年10月に預金保険機構「預金保険制度の基礎知識」で確認。預金保険機構 預金保険制度の基礎知識

国内の銀行の口座でも海外支店で預けたお金は対象外で、外国銀行の日本支店に円で預けた場合も預金保険では守られません。預け先を選ぶときは、預金の種類と合わせて本店の所在地も見ておく必要があります。

外貨預金・仕組預金・iDeCoの預金は、扱いがそれぞれ違う

外貨預金は、国内に本店がある銀行で預けても預金保険の対象外です。円定期預金と同じ銀行の同じ画面で申し込めても、破綻時の扱いは大きく違います。為替の変動とは別に、この点も外貨預金のリスクに含まれます。

仕組預金は、元本が保護される一方で、利息は全額が守られるとは限りません。保護されるのは、預け入れた時点の同じ期間・同じ金額の通常の円定期預金の店頭金利までで、それを超える上乗せ部分は対象外です。

確定拠出年金の積立金を預金で運用している場合は、名義上の預金者である信託銀行などの資産管理機関の預金としてでなく、積み立てている個人の預金として保護されます。本人名義の預金が同じ金融機関に別にあるときは、そちらが先に保護に充てられます。iDeCoで定期預金を選ぶときの考え方は「iDeCoで定期預金を選ぶときの手数料と金融機関の選び方」で整理しています。

金融機関が破綻したあと、預金が戻るまでの流れ

破綻の処理には、救済する金融機関へ事業を引き継いで資金を援助する資金援助方式と、預金保険機構が預金者に保険金を直接支払う保険金支払方式があります。預金保険機構は資金援助方式を優先するとしており、どちらの方式でも保護される範囲は同じです。

払戻しの時期について預金保険機構は、金曜日に破綻した場合に翌週の月曜日から払い戻せるよう努めるとしています。処理は裁判所の関与のもとで公平に進むため、窓口へ急いだ人から多く戻る仕組みにはなっていません。

払戻しまでに時間がかかる場合は、当面の生活資金として仮払金が支払われることがあります。対象は普通預金の元本で、上限は1口座につき60万円です。仮払金を受け取った分は、あとで支払われる保険金から差し引かれます。

次に、同じ金融機関から住宅ローンなどを借りている人は、預金と借入金を相殺できます。相殺は自動では行われず、預金者が意思表示をする必要があります。定期預金の利息は、満期まで預けた場合の利息を破綻日までの日数で日割りした額になります。

定期預金を預けるときに、1,000万円の枠をどう使うか

定期預金を選ぶときは、金利と合わせて、1つの金融機関に一般預金等をいくら置くかを確認しておくと安心です。次の表は、預金保険機構のルールに当てはめて当サイトで作った仮定のケースです。利息はすべて保護の範囲内として扱っています。

仮定のケース 保護される元本 保護の外に出る元本
A銀行に利息つき普通預金300万円と定期預金900万円 1,000万円(普通預金300万円→定期預金700万円の順) 定期預金のうち200万円
A銀行とB銀行に定期預金を600万円ずつ 1,200万円(各行600万円) なし
A銀行に無利息の決済用預金500万円と定期預金1,000万円 1,500万円(決済用預金は全額・定期預金は1,000万円まで) なし
A銀行に円定期預金800万円と外貨預金300万円相当 800万円 外貨預金の300万円相当

※1行目は「担保に入っていない預金→満期の早い預金→金利の低い預金」の順番に当てはめたものです(担保権の設定がない場合)。

このように、金融機関を分けるか、無利息の決済用預金を組み合わせれば、1,000万円を超える資金でも全額を保護の範囲に収めることができます。一方で、外貨預金に回した分は金額にかかわらず保護の外にあります。

預け先を分けると、満期の管理や金利の比較に手間がかかります。ローソン銀行のように普通預金と定期預金を合算して1,000万円の枠を数える例は「ローソン銀行の定期預金の金利と注意点」で取り上げています。1,000万円を大きく下回る預金であれば、保護の観点からは金利や使い勝手で選んで差し支えありません。

預金保険制度についてよくある質問

Q. 預金保険に入るために、銀行で手続きをする必要はありますか?

A. 手続きは不要で、対象の金融機関に預金をした時点で預金者・金融機関・預金保険機構の間に保険関係が自動的に成立します。保険料も金融機関の側が負担します。

Q. 同じ銀行の別々の支店に1,000万円ずつ預ければ、2,000万円まで守られますか?

A. 守られず、支店が違っても同じ金融機関の預金は名寄せで合算されるため、一般預金等は合計で元本1,000万円までと利息等が保護の上限になります。

Q. 破綻したとき、普通預金はすぐに引き出せますか?

A. 預金保険機構は、金曜日に破綻した場合に翌週の月曜日から払い戻せるよう努めるとしています。時間がかかる場合は、普通預金の元本について1口座60万円を上限とする仮払金が支払われることがあります。

Q. 子ども名義の口座に親のお金を預けても、子どもの枠で守られますか?

A. 実際の預金者が子ども本人であれば子どもの枠で保護されます。親が名義だけを借りて自分のお金を預けた場合は他人名義預金にあたり、保護の対象外になります。

制度や商品の内容は改正・改定されることがあるため、利用前に各機関の最新情報で確かめてください。

参考・出典

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