確定申告が必要な会社員とは|20万円ルールと住民税の申告

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会社員の副収入と確定申告・住民税の申告の関係を表したイメージ

確定申告が必要な会社員とは、年末調整だけでは所得税の計算が終わらない人のことです。代表例は給与の収入が2,000万円を超える人と、副業など給与以外の所得の合計が20万円を超える人で、国税庁は全部で7つの条件を示しています(令和8年4月1日現在の法令)。

この20万円ルールは所得税だけの扱いで、住民税には同じ仕組みがありません。20万円以下で確定申告をしない人も、住んでいる市区町村への住民税の申告は別に必要です。2026年(令和8年)分の確定申告の期限は2027年3月15日です。

年末調整で税金の精算が終わる会社員と終わらない会社員

年末調整とは、勤務先が1年間に天引きした所得税と本来の年税額との差を、年末に精算する手続きのことです。生命保険料控除や地震保険の保険料控除も、書類を勤務先に出せばこの中で反映されます。

給与を1か所からもらう大部分の会社員は、年末調整で所得税の納税まで完了するため、確定申告をする必要がありません。年末調整は給与にかかる税金だけを精算する仕組みなので、給与以外の所得がある人や、高額の給与を受ける人は計算が残ります。

国税庁が示す、確定申告が必要な給与所得者の7つの条件

国税庁タックスアンサーNo.1900は、確定申告が必要な給与所得者を次の7つに整理しています。いずれの条件も、申告すれば税金が戻ってくる人は対象から除かれます。表の右の列は、条件の文言から想定される典型的な例を当サイトで補ったものです。

No. 確定申告が必要になる条件 当てはまりやすい人
1 給与の年間収入金額が2,000万円を超える 給与の額面が2,000万円を超える会社員・役員
2 給与を1か所から受け、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える 副業・ネット販売・不動産の貸付などで所得がある人
3 給与を2か所以上から受け、年末調整されなかった給与の収入と、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える アルバイトを掛け持ちしている人、副業先にも雇用されている人
4 同族会社の役員などで、その会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている 家族で経営する会社の役員
5 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている 災害の被害で源泉徴収の猶予を受けた人
6 源泉徴収義務のない者から給与などの支払を受けている 給与から所得税が天引きされていない人
7 退職所得を正規の方法で計算すると、税額が源泉徴収額より多くなる 退職金から差し引かれた税額が本来の税額に足りない人

※2026年10月時点で国税庁タックスアンサーNo.1900(令和8年4月1日現在法令等)を確認。国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

会社員が実際に当てはまりやすいのは副収入に関する2と3の条件で、1や4〜7は限られた立場の人に関わる条件です。以下では、副業をしている人が最も迷いやすい20万円の数え方を順に整理します。

20万円は収入ではなく、経費を引いた所得で数える

20万円ルールの20万円とは、給与と退職金以外の所得を合計した金額のことです。所得は収入から必要経費を差し引いた後の金額なので、売上や報酬の総額で判定するものとは違います。

副業の報酬やネット販売の利益は、多くの場合に雑所得として扱われます。国税庁No.1500によると、業務にかかる雑所得は総収入金額から必要経費を引いて計算するため、売上が30万円でも経費が12万円なら所得は18万円です。

次に、所得は種類をまたいで合算して判定するので、たとえば副業の雑所得が12万円、貸している駐車場の不動産所得が10万円なら、合計は22万円で20万円を超えます。所得の種類ごとに見ればどれも20万円以下でも、合計で判定するため確定申告が必要になります。

20万円の合計に入れなくてよい所得

金融商品の利益には、天引きで課税が完了し、確定申告をしない選択ができるものがあります。No.1900では、次のような所得は20万円の合計に含めないとしています。

  • 特定口座(源泉徴収あり)で上場株式等を売った利益のうち、確定申告しないことを選んだもの
  • 上場株式等の配当等のうち、確定申告しないことを選んだもの
  • 特定公社債の利子のうち、確定申告しないことを選んだもの
  • 預貯金の利子など、源泉分離課税で課税が完了しているもの

定期預金の利息は、受け取る時点で税金が差し引かれて課税が終わる源泉分離課税にあたります。このため利息がいくらあっても20万円の判定には入らず、還付申告の対象にもなりません。

給与を2か所からもらう人は、副業先の給与を収入金額で数える

アルバイトなど2か所目の給与がある人は、年末調整をしなかったほうの給与を収入金額のまま数えます。給与所得控除を引く前の額面で判定する点が、経費を引ける雑所得との違いです。副業先から受け取った源泉徴収票の支払金額の欄が、そのまま判定に使う数字になります。

この給与収入に給与・退職所得以外の所得を足して20万円を超えると、確定申告が必要です。ただし、給与収入の合計から一部の所得控除を引いた額が150万円以下で、給与以外の所得も20万円以下の人は申告不要とされています。

※ここで差し引く所得控除からは、雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除が除かれます(国税庁 No.1900)。

20万円以下でも、住民税は市区町村への申告が別に必要

20万円ルールは、所得税の確定申告をしなくてよい場合を定めた規定です。住民税にはこの扱いがなく、給与以外の所得が20万円以下で確定申告をしない人も、住民税の申告書を市区町村へ出す必要があります。

広島市や神戸市の案内でも、20万円以下で確定申告が不要な人に住民税の申告が必要と明記されています(広島市・神戸市)。申告の期限は3月15日で、前年1年間の給与以外の所得も含めて記入します。

所得税の確定申告書を提出した人は、住民税の申告を別に行う必要はありません。副業の所得が20万円を少し下回る程度なら、どちらの申告で済ませるかを先に決めておくと手続きが一度で終わります。

計算例で確かめる、申告が要る人と要らない人

ここでは、給与を1か所からもらい年末調整を受けている会社員を仮定し、副収入の違いで手続きがどう変わるかを比べます。金額は説明のための仮定で、Bの経費には副業のために使った通信費や資料代などを想定しています。

ケース 副収入の内容(仮定) 給与以外の所得 所得税の確定申告 住民税の申告
A ハンドメイド品のネット販売(売上30万円・材料費など12万円) 18万円 不要 必要
B 副業のライター報酬(報酬40万円・経費15万円) 25万円 必要 確定申告で足りる
C Aと同じ副収入があり、医療費控除を受けるために申告する 18万円 18万円も含めて申告 確定申告で足りる

AとCは副収入が同じでも、確定申告をするかどうかで扱いが変わります。国税庁は、20万円以下の所得を申告しなくてよいのは確定申告が不要な場合に限られ、医療費控除などで申告するときはその所得も含めると説明しています。

Cのように還付を目的に申告すると、副収入の分の税金も一緒に計算され、戻る金額は医療費控除だけで見込んだ額より小さくなります。申告書を作る前に、副収入の所得も合わせて計算しておくと戻る金額を正しく見込めます。

※国税庁タックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」に関するQ&A(令和8年4月1日現在法令等)で確認。国税庁 No.1900 Q&A

義務がなくても申告すると税金が戻る会社員

還付申告とは、納め過ぎた所得税を取り戻すために提出する申告のことです。確定申告の義務がない人でも、天引きされた所得税が本来の税額より多ければ、還付申告で差額を取り戻せます。国税庁No.2030は、次のような人を例に挙げています。

  • 年の途中で退職し、年末調整を受けていない人
  • 住宅ローン控除などの税額控除を受ける人
  • 医療費控除や寄附金控除を受ける人

住宅ローン控除は、入居した最初の年分だけは会社員も確定申告で手続きし、2年目以降は年末調整で受けられます。控除額の計算と借入限度額は住宅ローン控除の仕組みと借入限度額で整理しています。

還付申告は、対象の年の翌年1月1日から5年間提出できます。確定申告の期間を待つ必要はなく、2026年分なら2027年1月から受け付けられますが、源泉徴収税額が0円の人は申告しても戻る所得税がありません。

2026年分の申告期間と、そろえておく書類

2026年(令和8年)分の所得税の確定申告は、相談と申告書の受付が2027年2月16日(火)に始まり、期限は3月15日(月)です。納税の期限も同じ日で、還付申告は2月15日以前でも提出できます。

準備の起点になるのは、勤務先から受け取る源泉徴収票です。副業がある人は、報酬の明細や売上の記録、経費の領収書をそろえておくと、所得の合計が20万円を超えるかどうかをすぐに確かめられます。

所得税や住民税の滞納は、住宅ローンの審査で提出する納税証明書に表れます。申告と納付を期限内に済ませておく意味は、税金滞納と住宅ローン審査・納税証明書の関係で詳しく説明しています。

よくある質問(20万円ルールと会社員の申告)

Q. フリマアプリで不用品を売ったお金も20万円に含めますか?

A. 自分で使っていた衣類や家具などの生活用品を売った収入は非課税で、20万円の合計にも入りません。営利を目的に仕入れた品を継続して売る場合は雑所得になり、経費を引いた所得を合計に含めます。

Q. 特定口座で得た株の売却益は20万円に数えますか?

A. 源泉徴収ありの特定口座で、確定申告しないことを選んだ利益は合計に含めません。損失との通算などのために申告することを選んだ場合は、その利益も確定申告の対象になります。

Q. 副業の所得が20万円以下なら、住民税もかかりませんか?

A. 住民税には20万円の扱いがないため、副業の所得は市区町村への申告に含めて課税されます。医療費控除などで確定申告をする年は、所得税の計算にもその所得を加えます。

Q. 還付申告は何年前の分までさかのぼれますか?

A. 還付申告書は、対象の年の翌年1月1日から5年間提出できます。2026年分であれば2027年1月1日から提出でき、確定申告の期間とは関係なく受け付けられます。

まとめ

会社員の確定申告は、給与収入2,000万円超か、給与以外の所得の合計20万円超かで、まず判断できます。20万円は経費を引いた所得で数え、源泉分離課税の利息や申告不要を選んだ株の利益は除きます。

20万円以下でも住民税の申告は別に必要で、医療費控除などで確定申告をする年はその所得も含めます。迷ったときは源泉徴収票と副収入の記録を並べ、この記事の7つの条件と照らし合わせてください。制度や商品の内容は改正・改定されることがあるため、利用前に各機関の最新情報で確かめてください。

参考・出典

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