2007年9月に住宅ローンの取り扱いを開始したドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)は、住宅ローンを代表するネット銀行の一つです。2024年度のネット銀行における住宅ローン新規実行額はNo.1(同社調べ・2025年3月31日時点)とされており、業界でもトップクラスの低金利と、保険料の自己負担なしで付帯する手厚い団信「スゴ団信」を武器に、今も利用者を増やし続けています。

ドコモの銀行では、公式サイトから申し込む住宅ローン(WEB申込コース)や、店舗で相談しながら申し込む住宅ローン(対面相談コース)、フラット35(Web申込)など、いくつかの住宅ローンを提供しています。2023年8月からは最長50年の住宅ローンの取り扱いも始まりました。
【最新の動き】ドコモの銀行は2025年10月にNTTドコモの連結子会社となり、ドコモと三井住友信託銀行による共同経営体制に移行しました。これに伴い、2026年8月3日から商号が「株式会社ドコモSMTBネット銀行」へ変更され、個人向けのサービスブランドも「ドコモの銀行」に刷新されています(旧ブランド名の「d NEOBANK」は使われなくなりました)。金融機関コード・支店番号・口座番号に変更はなく、住宅ローンの商品性そのものは同社が引き続き提供します。名称や手続きの最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
ドコモの銀行の住宅ローンは、価格比較サイトやオリコンの顧客満足度ランキングなどでも上位に位置づけられることが多く、一般の利用者からの評価が高い住宅ローンです。
この記事では、そんなドコモの銀行の住宅ローンに落とし穴が無いのか、また、申し込む前に気を付けておきたいポイントと対策をまとめています。どんな住宅ローンにも向き・不向きがありますので、しっかりと理解・対策をしたうえで申し込むようにしましょう。なお、本記事の金利・手数料・保障などの条件は2026年8月時点のもので、最新の内容は必ず公式サイトでご確認ください。
- 当初期間引下げタイプは、固定期間終了後の金利水準に注意
- 審査結果によって表示金利に金利が上乗せされることがある
- 物件価格の80%を超えて借りると適用金利が変わる
- 借入期間が40年を超えると金利が上乗せされる
- ネット銀行ゆえ、審査・融資実行までに時間がかかることがある
- 勤続年数・年収・職業などの細かい審査基準が公表されていない
- 無料でセットされる全疾病保障は、残高全額が0円になるまでのハードルが高い
- 事務手数料が借入金額×2.20%(税込)の定率型
目次
ドコモの銀行 住宅ローンの落とし穴と注意点
審査結果により金利が上乗せされる
ドコモの銀行の住宅ローンは、審査の結果で適用金利が上乗せされる可能性があります。公式サイトの金利ページにも、WEB申込コースは「当社の審査結果によっては、表示金利に年0.100%〜年0.300%上乗せとなる場合があります」、対面相談コースは「当社または保証会社の審査結果によっては、表示金利に年0.100%〜年0.550%上乗せとなる場合があります」と明記されています(2026年8月時点・公式サイトにて確認)。
これはドコモの銀行に限らず、一般的な銀行の住宅ローンでも採用されている仕組みで、審査の中で適用金利が決まります。審査に通った場合でも、必ずしも広告に出ている「最も低い金利」で借りられるとは限らないという点は理解しておきましょう。上乗せ幅の上限まで適用されると、他行との金利差が逆転することもあり得ます。仮審査の段階で提示された条件を、必ず金額ベースで比較してください。
住宅ローン審査に時間がかかる場合がある
ドコモの銀行は、申し込みから融資実行までの期間が必ずしも早いほうとは限りません。ネット銀行には全国各地から申し込みが集中するため、人気のある住宅ローンほど次々と申し込みが入り、審査手続きを順番に進めていく必要があるからです。
とくに繁忙期(年度替わりや住宅の引き渡しが集中する時期など)は、普段以上に審査に時間がかかることもあります。引き渡し日から逆算して、余裕をもって申し込むようにしましょう。
また、公式サイトの注意事項には「WEB申込コース」「対面相談コース」「フラット35」を同時に申し込むことはできないと明記されています。途中で商品を変更したい場合は、いったん取り下げてから改めて申し込む必要があり、提出済みの書類も出し直しになります。どのコースで申し込むかは、最初に決めておきましょう。
住宅ローンの審査基準が公表されていない
住宅ローンの中には、勤続年数・年収・職業などの利用条件が商品説明書に明示されているものもあります。一方で、ドコモの銀行では、こうした細かい審査条件が公表されていません。
総合的に審査結果を判断しているため明確に開示しにくいものと考えられますが、申し込む側からすると「自分が条件に当てはまるのか」が事前に分かりづらく、不安材料になりやすいと言えるでしょう。雇用形態や収入に不安がある場合は、申し込み前に仮審査で感触を確かめておくと安心です。
当初固定期間が終わった後の金利に注意
ドコモの銀行の金利プランは、返済期間を通じて同じ引下げ幅が続く「通期引下げプラン」と、当初の特約期間だけ引下げ幅が大きい「当初引下げプラン」の2つに分かれています。注意が必要なのは後者です。当初引下げプランは特約期間が終了すると引下げ幅が変わるため、同じ基準金利でも適用金利が上がることがあります。
これはドコモの銀行に限らず、メガバンクや地銀などが取り扱う「当初固定期間設定型(当初期間引下げタイプ)」に共通する仕組みです。当初期間の金利を低く抑える代わりに期間終了後の引き下げ幅が小さくなるので、固定期間が終わった後にどの程度の金利になり得るのかまで含めて確認しておきましょう。公式の金利一覧には「特約期間終了後」の引下げ幅も記載されているので、申込前に必ず目を通してください。
金利環境そのものも動いています。日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で政策金利を年0.75%から年1.0%程度へ引き上げ(1995年9月以来の高い水準)、7月30日・31日の会合ではこの水準で据え置きました。次回の金融政策決定会合は9月17日・18日に予定されています。特約期間が終わるのが何年先かによって金利環境は変わり得るため、「今の金利が続く前提」で試算しないことが大切です。
物件価格の80%を超えて借りると金利が変わる
見落とされがちですが、ドコモの銀行の住宅ローンは自己資金の割合によって適用金利が分かれます。公式の金利一覧では「環境配慮型住宅を購入する場合、または物件価格の80%以下で借り入れる場合」と「物件価格の80%超で借り入れる場合」で金利が別々に表示されています。つまり、頭金をほとんど入れずにフルローンに近い形で借りると、条件のよい方の金利は適用されません。
ここでいう「環境配慮型住宅」とは、ZEH水準住宅・認定長期優良住宅・低炭素住宅・LCCM住宅など、環境負荷の低減を目的とした住まいのことです。この条件に当てはまれば、自己資金が2割に満たなくても80%以下と同じ金利が適用されます(環境配慮型住宅であることを確認できる資料の提出が必要)。物件選びの段階から意識しておくと、金利面で有利になる可能性があります。
借入期間が40年を超えると金利が上乗せされる
最長50年という長期の返済期間を選べるのはドコモの銀行の特徴ですが、期間を延ばせば延ばすほど有利になるわけではありません。公式サイトの「お借入期間による上乗せ金利」によると、35年超〜40年以内は上乗せなし、40年超〜50年以内は年0.150%の上乗せとなります。
返済期間を延ばせば毎月の返済額は下がりますが、金利の上乗せと返済期間の長期化が重なって総返済額は大きく膨らみます。また、完済時の年齢が高くなるほど、退職後も返済が続くリスクを抱えることになります。50年返済は「毎月の負担を抑える手段」として有効な場面もありますが、上乗せ分を含めた総額で判断しましょう。
ワイド団信にも対応している(以前は取り扱いなし)
住宅ローンを組む際に加入が必要になるのが団体信用生命保険(団信)です。団信は契約者が死亡したり所定の高度障害状態になった場合などに保険金で住宅ローン残高が完済される生命保険で、生命保険であるために加入時には健康状態の告知が必要です。告知内容によっては団信の審査に通らず、結果として住宅ローンを利用できないこともあります。
かつてドコモの銀行では、健康に不安がある人向けの「ワイド団信」を扱っていませんでした。しかし現在は、高血圧・糖尿病・肝炎などの理由で通常の団信に加入できない場合でも、金利を上乗せしてワイド団信に加入できる場合があります(加入可否は保険会社の判断によります)。以前の「ワイド団信が使えない」という情報は古くなっているため、健康面に不安がある方も検討対象に含めてよいでしょう。
上乗せ幅については、公式の金利ページに「選択する団体信用生命保険のプランによっては、住宅ローン金利に年0.200%〜年0.400%が上乗せとなります」と案内されています(2026年8月時点)。プランごとの正確な上乗せ幅は公式の団信ページでご確認ください。なお、ワイド団信を選んだ場合は、全疾病保障・3大疾病保障特約・先進医療特約といった上乗せの保障は付帯されない点にも注意が必要です。健康状態に不安がない方は、auじぶん銀行など他のネット銀行の団信内容ともあわせて比較してみるとよいでしょう。
店舗でも相談・申し込みが可能
ドコモの銀行は、WEB申込コースのほかに、店舗で相談しながら申し込める住宅ローン(対面相談コース)も提供しています。公式サイトによると全国50店舗以上の窓口があり、専任スタッフに資金計画から審査申込・契約まで相談でき、土日も相談可能とされています。「ネットだけで手続きを進めるのは不安」という方でも利用しやすいのが特徴です。
ただし、対面相談コースは同社を所属銀行とする銀行代理業者が申込みや各種手続きを受け付ける形で、公式サイト上では受付をしていません(契約そのものは同社との契約になります)。前述のとおり審査結果による上乗せ幅もWEB申込コースより広く設定されているため、「相談できる安心感」と「金利条件」を天秤にかけて選びましょう。最寄りの店舗や相談予約の方法は変わることがあるため、利用前に公式サイトで確認しておくことをおすすめします。
充実の「スゴ団信」と全疾病保障の適用条件
ドコモの銀行の住宅ローンは2023年4月に大きく改定され、団信が「スゴ団信」として大幅に拡充されました。保険料の自己負担なし(金利上乗せなし)で、すべての病気やケガをカバーする全疾病保障が基本付帯となるほか、借入時の年齢が満50歳未満の方には3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)の50%保障も基本付帯されます。金利を上乗せしないでここまでの保障が付くのは、住宅ローンの中でもトップクラスの内容です。
一方で、気を付けておきたいのが全疾病保障で「住宅ローン残高が全額0円になる」ための条件です。公式の保障内容によると、病気やケガで就業不能の状態となり、その状態が12か月(1年)継続した場合に残高がゼロになる仕組みで、それまでの間は毎月の返済額が保障される形になっています。
つまり、保障の範囲は「すべての病気・ケガ」と幅広い反面、残高全額の保障を受けるには1年間就業できない状態が続くことが前提であり、実際にそこまで至るケースは多くありません。手厚い保障があるからと過信せず、自分や家族の状況に応じて、別途の医療保険や就業不能保険と組み合わせて備えておくことも検討しましょう。
平均的な入院日数は?
厚生労働省の令和5年(2023年)患者調査によると、病院における退院患者の平均在院日数は29.3日で、働き盛りの世代(35~64歳)はこれよりさらに短い傾向にあります。多くの入院は比較的短い期間で終わっており、「1年以上の就業不能」という全疾病保障の前提となる状態に至るのは、統計的に見ても極めてまれであることが読み取れます。だからこそ、保障の中身と適用条件をきちんと理解しておくことが大切です。
事務手数料は借入額×2.20%(税込)の定率型
ドコモの銀行の住宅ローンは保証料が不要な一方、事務取扱手数料として借入金額×2.20%(税込)がかかります。たとえば3,000万円を借り入れる場合は66万円(税込)です。手数料は口座を経由せず融資金額から直接差し引かれるため、自己資金で支払う場合は事前に用意しておく必要があります(手数料や収入印紙代・登記費用・火災保険料などの諸費用も合わせて借り入れることができます)。なお、一部繰上返済は1円から何度でも手数料0円で利用できるため、繰り上げ返済で総返済額を抑えやすい点はメリットです。
金利が上乗せになる主な条件(早見表)
広告に出ている「最も低い金利」からどんなときに上乗せが発生するのかを、公式サイトの記載をもとに整理しました(2026年8月時点・公式サイトにて確認。最新の条件は必ず公式でご確認ください)。
| 上乗せの要因 | 上乗せ幅 | ポイント |
|---|---|---|
| 審査結果(WEB申込コース) | 年0.100%〜年0.300% | 上乗せの有無・幅は仮審査の結果で判明する |
| 審査結果(対面相談コース) | 年0.100%〜年0.550% | 同社または保証会社の審査結果による。WEB申込コースより幅が広い |
| 団信のプラン選択 | 年0.200%〜年0.400% | 上乗せなしで付く保障もある。プラン別の幅は公式の団信ページで確認 |
| 借入期間 40年超〜50年以内 | 年0.150% | 35年超〜40年以内は上乗せなし |
| 物件価格の80%超の借入 | 金利区分が変わる | 環境配慮型住宅なら80%以下と同じ区分が適用される |
ドコモの銀行の団信ラインアップ(早見表)
金利の上乗せなしで付帯する保障と、上乗せが必要な保障を整理すると次のとおりです(2026年8月時点・公式サイトにて確認。詳細・適用条件は必ず公式の最新情報をご確認ください)。
| 保障 | 金利上乗せ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 一般団信 | 0円(上乗せなし) | 死亡・所定の高度障害で残高完済 |
| 全疾病保障 | 0円(基本付帯) | すべての病気・ケガで就業不能が12か月継続すると残高0円 |
| 3大疾病50%保障 | 0円(満50歳未満は基本付帯) | がん・急性心筋梗塞・脳卒中で所定の状態のとき残高が半分に |
| 上乗せありのプラン(ワイド団信など) | 年0.200%〜年0.400% | 健康上の理由で一般団信に入れない場合などの選択肢(ワイド団信は上乗せ保障の対象外) |
よくある質問(FAQ)
Q. 保証料や繰上返済手数料はかかりますか?
保証料は不要です。一部繰上返済も1円から何度でも手数料0円で利用できます。ただし、申し込み時に事務取扱手数料として借入金額×2.20%(税込)がかかります。
Q. 広告に出ている金利で必ず借りられますか?
いいえ。公式サイトにも、審査結果によって表示金利に年0.100%〜年0.300%(対面相談コースは年0.100%〜年0.550%)が上乗せになる場合があると明記されています。さらに、団信のプラン選択、借入期間が40年を超える場合、物件価格の80%超で借りる場合にも金利は変わります。表示されている金利は「最下限金利」だと考えておきましょう。
Q. 健康に不安があっても申し込めますか?
通常の団信に加入できない場合でも、金利を上乗せしてワイド団信に加入できる場合があります(加入可否は保険会社の判断によります)。以前は取り扱いがありませんでしたが、現在は対応しているため、健康面に不安がある方も検討できます。上乗せ幅はプランによって年0.200%〜年0.400%の範囲で案内されています。
Q. 全疾病保障があれば医療保険は不要ですか?
全疾病保障は住宅ローンの返済に備える保障で、残高全額が0円になるのは「就業不能が12か月継続した場合」です。治療費や生活費を直接カバーするものではないため、医療保険などとは役割が異なります。必要に応じて他の保険と組み合わせて備えると安心です。
Q. WEB申込コースと対面相談コースは併願できますか?
できません。公式サイトの注意事項に「WEB申込コース」「対面相談コース」「フラット35」を同時に申し込むことはできないと明記されています。変更したい場合は先に申し込んだ商品を取り下げる必要があり、提出済みの書類も改めて出し直しになります。申し込み前にどのコースにするかを決めておきましょう。
Q. 商号が変わっても契約中の住宅ローンはそのまま利用できますか?
2026年8月3日に商号が「ドコモSMTBネット銀行」へ変更されましたが、変更は会社名やサービスブランドの刷新であり、住宅ローンの契約そのものは引き続き有効です。金融機関コード・支店番号・口座番号にも変更はありません。手続きや振込先の名称などの案内は公式サイトでご確認ください。
まとめ:強みと注意点を理解して比較検討を
ドコモの銀行の住宅ローンは、トップクラスの低金利と、上乗せなしで付く手厚い「スゴ団信」が大きな魅力です。一方で、審査基準が公表されていない点、審査結果による金利の上乗せ、当初固定期間終了後の金利、物件価格の80%超や40年超の借入で条件が変わる点、全疾病保障の適用条件、2.20%(税込)の事務手数料といった「落とし穴になりがちなポイント」も理解したうえで申し込むことが大切です。
ネット銀行を中心に比較したい場合は、auじぶん銀行やソニー銀行などとも金利・団信・手数料を見比べてみましょう。また、店舗での対面相談とオンライン手続きの両方に対応した銀行を希望するなら、SBI新生銀行も選択肢の一つです。SBI新生銀行は一般団信の保険料が0円で、2026年3月からは上乗せ0円の全疾病保障付団信も選べるようになっており、事務取扱手数料が借入金額の2.20%(税込)の定率型で保証料も一部繰上返済手数料もかからないなど、費用体系の分かりやすさやSBIグループとしての安心感もあります。自分に合った住宅ローンを、複数行で比較しながら選んでいきましょう。










