暗号資産(仮想通貨)の売買や交換を日本の居住者に提供するには、資金決済法にもとづく内閣総理大臣の登録が必要です。実際の登録事務は金融庁と財務局が担っており、2026年9月30日現在で登録を受けている暗号資産交換業者は27社です。
口座を開く前に、金融庁の「暗号資産交換業者登録一覧」で業者名と登録番号を照らし合わせれば、無登録業者との取引はおおむね避けられます。登録は利用者を守る態勢の確認であって、暗号資産の価値や利益を国が保証する仕組みとは別のものです。
暗号資産交換業とは、暗号資産の売買・交換やその管理を業として行うこと
暗号資産交換業とは、暗号資産の売買や他の暗号資産との交換、その媒介や取次ぎ、利用者の金銭や暗号資産の管理を、業として行うことです。資金決済法第2条がこの4種類の行為を定めており、どれか1つでも業として行えば対象になります。
この登録制は2017年4月1日に始まりました。資金決済法第63条の2は、暗号資産交換業を「内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行ってはならない」と定めています。
無登録で営業した場合の罰則は、3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金、またはその両方です(同法第107条、2026年10月時点の条文)。金融庁は、日本の居住者を相手に暗号資産の取引を行う者には日本の法令にもとづく登録が必要だとしており、海外に拠点を置く業者も同じ扱いです。
登録を受けるには、株式会社であることや財産的基礎などの要件を満たす
登録の審査では、資金決済法第63条の5が定める拒否事由に当たらないかが確認されます。主な要件を整理すると、下の表のようになります。
| 要件 | 内容(資金決済法第63条の5から抜粋) |
|---|---|
| 会社の形態 | 株式会社、または国内に営業所を持つ外国暗号資産交換業者であること |
| 財産的基礎 | 業務を適正かつ確実に行うために、内閣府令の基準に合う財産的基礎があること |
| 業務の体制 | 業務を適正に行う体制と、法令を守るための体制が整っていること |
| 自主規制 | 認定資金決済事業者協会に加入するか、協会の規則に準じた社内規則を作って守る体制があること |
| 商号 | 他の暗号資産交換業者と同じ商号や、誤認されるおそれのある商号を使わないこと |
※e-Gov法令検索の資金決済法(令和8年8月12日施行時点の条文)をもとに作成。要件の一部を抜き出しています。
登録後も、利用者の金銭は自社の金銭と分けて信託会社などに信託し、利用者の暗号資産も自社の分と分けて管理する義務があります(同法第63条の11)。この管理の状況については、定期的に公認会計士か監査法人の監査を受けます。
金融庁は、登録業者に求められる態勢として、虚偽表示や誇大広告の禁止、預かり資産の分別管理、トラブル時の対応窓口の設置、システムの安全な稼働のための管理を挙げています。無登録業者については、こうした態勢があるかを確認する手段がありません。
登録の有無は、金融庁の登録一覧で業者名から連絡先まで照らし合わせる
金融庁の暗号資産交換業者登録一覧は、PDFとExcelで公開されています。2026年9月30日現在の一覧には27社が載っており、所管は関東財務局が25社、近畿財務局が2社です。
一覧の列は、所管、登録番号、登録年月日、業者名、法人番号、郵便番号、本店等所在地、代表電話番号、取り扱う暗号資産の9つです。登録番号は「関東財務局長 第00001号」のような形で記載されています。
確認するときは、業者のウェブサイトに書かれた情報と一覧を、次の順に照らし合わせます。
- 業者名が一覧にあるか。取引所やアプリのサービス名ではなく、運営会社の正式な商号で探します。
- 登録番号と所管の財務局が一致するか。番号を表示していても、一覧の番号と違えば登録業者とはいえません。
- 本店等所在地と代表電話番号が一致するか。商号と番号が本物どおりでも、連絡先だけが違う場合は偽サイトを疑います。
- 買おうとしている暗号資産が、その業者の「取り扱う暗号資産」の欄に載っているか。
名称や電話番号から調べたいときは、金融庁の金融事業者一括検索も使えます。電話やメッセージで社名を名乗る勧誘を受けたときは、その場で取引を決めずに、相手の会社が検索結果に出てくるかを調べてから判断します。
登録一覧に載る暗号資産は、法律上の定義に当てはまると確認されただけのもの
登録一覧の注記には、各業者が取り扱う暗号資産について、業者の説明にもとづいて資金決済法上の定義に当てはまると確認したものにすぎないと書かれています。金融庁・財務局がその価値を保証したり、購入を推奨したりする意味は含まれていません。
暗号資産は法定通貨と違い、国が価値を保証していないインターネット上の電子データです。価格は大きく動くことがあり、登録業者を通じて買った場合でも、値下がりによる損失は利用者自身が負います。
預金とも扱いが異なります。銀行の預金は預金保険制度(ペイオフ)で保護される範囲に入りますが、暗号資産は預金ではないため、預金保険では守られません。業者が破綻したときの備えになるのは、前の節で触れた分別管理の義務です。
登録業者で取引して出た利益には、税金もかかります。売却や他の暗号資産との交換で生じた利益の区分や計算方法は、暗号資産(仮想通貨)の税金と確定申告の記事で、計算例とあわせて説明しています。
無登録業者は、警告書を受けた名称が金融庁から公表されている
金融庁は、無登録で暗号資産交換業を行っていると確認した者に警告書を出し、その名称や所在地を無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等についてのページで公表しています。2026年10月18日時点の掲載は、国内の業者が3件、海外に所在する業者(所在不明を含む)が22件です。
この一覧で注意が必要なのは、載っていないことが適法の証明にはならない点です。金融庁自身が、掲載されていない者でも無登録で営業している場合があると注記しています。
掲載内容は警告書を出した時点のもので、その後に名称や所在地を変えている業者もあります。このように警告の一覧には限界があるため、判断の基準は登録一覧に載っているかどうかに置き、警告の一覧は補助として見るのが確実です。
金融庁には、無登録業者との取引で出金を拒まれた、高額な出金手数料を求められた、突然連絡が取れなくなったといった被害が寄せられています。登録業者のような保護の態勢がない相手に預けた資産は、取り戻すのが難しくなります。
登録業者を名乗る偽サイトや勧誘は、連絡先と入口の違いで見分ける
登録業者や行政機関の名前を使った詐欺もあります。金融庁は当庁を名乗る電子メールや動画への注意を呼びかけており、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)も2024年2月に、会員を名乗る勧誘やサイトへの注意を出しました。
偽サイトは本物の商号や登録番号を画面に載せていることがあり、番号が表示されているだけでは登録業者と判断できません。次の手がかりがあるときは取引を止め、登録一覧の情報と突き合わせます。
- SNSやマッチングアプリで知り合った相手から、特定のサイトやアプリで暗号資産を買うよう勧められた
- サイトに書かれた電話番号や所在地が、登録一覧の代表電話番号・本店等所在地と違う
- 必ずもうかる、損はしないといった説明で取引を急がされた
登録業者のサイトに入るときは、届いたメールやメッセージのリンクから開かずに、登録一覧の業者名で検索するか、以前から使っている公式アプリから入るほうが安全です。
2026年の法改正で、登録業者は「暗号資産取引業者」として金融商品取引法の下へ移る
2026年7月15日に、金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第64号)が成立しました。暗号資産取引の規制を資金決済法から金融商品取引法に移し、暗号資産を有価証券とは別の金融商品と位置づける内容です。
金融庁の説明資料によると、現在の暗号資産交換業者は「暗号資産取引業者」に名称が変わり、第一種金融商品取引業に相当する規制を受けます。暗号資産のインサイダー取引規制の新設や、無登録業者に対する罰則の引き上げも盛り込まれました。
e-Gov法令検索の改正履歴では、この改正法に「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」に施行される部分があり、2026年10月時点で日付は示されていません。施行までは、資金決済法の登録制度と登録一覧で確認する方法がそのまま使えます。
不審な勧誘や被害の相談は、金融庁と消費生活センターの窓口へ
取引に不審な点があるときや、すでにお金を払ってしまったときは、一人で抱え込まずに公的な窓口へ相談します。金融庁が案内している主な窓口をまとめました。
| 窓口 | 連絡先 | 主な相談内容 |
|---|---|---|
| 金融庁 金融サービス利用者相談室 | 0570-016811(IP電話は03-5251-6811)・平日10時〜17時 | 暗号資産の取引や業者に関する相談・情報提供 |
| 消費者ホットライン | 188(局番なし) | 契約トラブル全般(身近な消費生活センター等の窓口につながる) |
| 警察 | 最寄りの警察本部・警察署 | 詐欺が疑われる場合 |
※金融庁暗号資産の利用者のみなさまへの案内をもとに作成(2026年10月確認)。
制度や商品の内容は改正・改定されることがあるため、利用前に各機関の最新情報で確かめてください。










