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銀行の本部企画の経験を活かせる転職先|経営企画・コンサル・金融DX

銀行の本部で中期経営計画や予算、営業施策の企画を担当してきた人の主な移り先は3つあります。事業会社の経営企画、経営やITのコンサルティング会社、それにネット銀行や金融持株会社などデジタル分野に力を入れる金融会社です。どの移り先でも、計画を数字にし、関係部署と調整しながら実行まで進めた経験を具体的に説明できるかが問われます。

一方で、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、事業会社の企画職やコンサルタントの有効求人倍率は1倍を下回っていました。求人より求職者のほうが多い職業なので、本部で何を担当し、どんな成果を出したかを具体的に示す必要があります。後で紹介する事例には、移った後に収入が下がった人もいます。

job tagに経営企画という職業はなく、近いのは企画・調査担当

job tagは、職業ごとの仕事内容や必要なスキル、賃金の統計をまとめた厚生労働省のサイトです。ただし経営企画という名前の職業は載っていません。いちばん近いのは企画・調査担当で、職業分類は企画・調査事務員です。

企画・調査担当の仕事は、新製品や新サービスのために市場調査をし、企画を立てることと説明されています。タスク一覧では、資料の作成と企画書の作成の実施率がどちらも93.6%でした。全社の計画を作る銀行の経営企画とは、扱う対象がやや違います。

同じページには、中途採用もあること、部門ごとの原価や損益を見分ける判断力が重要なことが書かれています。関連資格に挙がっているのはMBA(経営学修士)だけで、必須の資格はありません。応募する求人が全社の計画を担う部署なのか、商品の企画を担う部署なのかは、求人票の仕事内容で区別してください。

移り先によって、計画を作る立場と提案する立場に分かれる

事業会社の経営企画は、自社の計画を作り、進み具合を追いかける

経営企画部の仕事は会社によって違います。後で紹介する金融持株会社の事例では、経営会議の事務局、中期経営計画の策定、予算と実績の取りまとめなどを担当していました。銀行の本部で支店の目標を配分し、達成状況を集計してきた人には近い作業です。

違うのは扱う数字で、銀行の預金や貸出金に代わって、売上高や原価、設備投資が中心になります。決算書を読む側だった銀行員が、作る側に回るときの注意点は、銀行の法人営業の経験を活かせる転職先の記事で事業会社の財務を例に説明しています。

経営コンサルタントは、他社の課題を外から分析して提案する

job tagによると、経営コンサルタントとは、企業に経営戦略や組織・人事戦略、業務改善などを提案し、実現まで支援する仕事のことです。経営者や現場の社員から情報を集めて課題を分析し、報告書にまとめて提案したあと、計画づくりや研修まで手伝います。

同じページには、大企業で金融や財務などの専門業務を経験した後に転身する人もいて、その場合は学歴より職歴が重視されると書かれています。関連資格には公認会計士、税理士、中小企業診断士、経営士が挙がっていますが、資格がなくてもなれる仕事です。

ITコンサルタントやデジタル系の金融会社では、要件を決める力が問われる

ITコンサルタントは、顧客のIT投資やDX(デジタル・トランスフォーメーション)について、経営戦略の段階から助言する仕事です。job tagは、個別の現場経験を生かしてITコンサルタントやDXコンサルタントになるなど、就業の道筋が多様になってきていると書いています。

デジタル分野に力を入れる金融会社でも、求められるのは同じ力です。銀行でアプリやシステムの更改に企画側として関わった人は、どの機能を誰のために作るかを決めた経験として、応募書類に具体的に書けます。

当サイト集計 job tagのスキル値で3つの職業を比べた

job tagの各職業ページには、どのようなスキルがどの程度必要かを、職業どうしで比べられる0〜7の数値で示した「しごと能力プロフィール」があります。当サイトが、本部企画の経験者が移りやすい3つの職業のスキル値を書き写したところ、職業による差が大きかった項目は次のとおりでした。

スキル(job tag)企画・調査担当経営コンサルタントITコンサルタント
文章力4.84.84.9
他者との調整4.54.65.0
交渉4.14.84.5
指導4.24.94.7
企業・組織の活動の分析3.74.54.1
合理的な意思決定3.94.34.8
資金管理2.83.93.6
要件分析(仕様作成)3.83.95.1
プログラミング1.91.63.8

※厚生労働省 job tag の各職業ページの「しごと能力プロフィール」(スキル)の数値を当サイトが書き写したもの(2026年11月3日確認)。スキルの項目の一部を載せています。数値は職業どうしを比べるためのものです。

交渉・指導・企業組織の活動の分析・合理的な意思決定・資金管理・要件分析の6項目について、企画・調査担当、経営コンサルタント、ITコンサルタントのスキル値を比べた棒グラフ

企画・調査担当で値が高かったのは文章力4.8と傾聴力4.7で、資料を作り、相手の話を聞いてまとめる力が中心です。資金管理は2.8で、3つの職業の中でいちばん低い値でした。会議資料や稟議書を作り、各部の意見をまとめてきた本部の仕事と重なる部分が多い職業です。

経営コンサルタントは、指導4.9、交渉4.8、企業・組織の活動の分析4.5が企画・調査担当より高く出ました。提案を通すための交渉と、相手の社員を動かす指導まで求められます。ITコンサルタントは要件分析(仕様作成)が5.1と全項目で最も高く、プログラミングも3.8ありました。

年収と求人の数は、職業分類の単位で読む

job tagには、令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした年収と、ハローワークの令和7年度の求人統計も載っています。表の最後の行は、比べるための参考として銀行の渉外担当の数値です。

職業(job tag)対応する職業分類年収求人賃金(月額)有効求人倍率
企画・調査担当企画・調査事務員736.8万円27.3万円0.47倍
経営コンサルタントその他の経営・金融・保険の専門的職業1,134.6万円29.5万円0.40倍
ITコンサルタントITコンサルタント889.0万円36.1万円0.88倍
(参考)銀行・信用金庫渉外担当金融・保険営業員674.4万円28.0万円7.97倍

※年収は令和7年賃金構造基本統計調査、求人賃金と有効求人倍率はハローワークの令和7年度の全国の値(いずれも厚生労働省 job tag の各職業ページで2026年11月3日確認)。求人賃金はハローワークに出された求人票の金額で、人材紹介会社などの求人は含みません。

有効求人倍率は、求人の数を求職者の数で割った値です。企画・調査担当の0.47倍は、求人1件に対して求職者が約2.1人いる計算になります。経営コンサルタントも0.40倍で、渉外担当の7.97倍とは逆に、求人のほうが少ない職業でした。

経営コンサルタントの年収1,134.6万円は、M&Aマネージャーのページにも同じ値が出ています。job tagの統計は個々の職業ではなく、属する主な職業分類の単位で集計されているからです。コンサルタントに移れば年収が1,000万円を超える、という読み方はできません。

求人賃金と年収の差も大きく開いています。経営コンサルタントの求人賃金は月29.5万円で、12倍すると354万円にしかなりません。ハローワークの求人と、賞与を含む実際の賃金とでは対象も中身も違うため、移り先の年収は応募先の求人票と賃金規程で個別に比べてください。

公開インタビューに見る、本部企画からの移り方

採用企業が公開している社員インタビューから、銀行や金融機関の企画部門などで働いていた人の事例を4件紹介します。個人名は出さず、記事の内容を要約しています。前職の表記は各記事のとおりです。

  • メガバンクの本部企画から、地方銀行の経営企画部へ メガバンクで最後に本部の企画関連の部署にいた人が、2018年に宮崎銀行へ中途入行しました。営業戦略の立案に携わり、中期経営計画もすでに2回作っています。収入は下がったものの、残業はほとんどなくなり、家族と過ごす時間が増えたと話しています。
  • 大手金融機関の経営企画から、通信会社系の金融持株会社へ 大手金融機関で10年以上経営企画の仕事をした人が、2021年にauフィナンシャルホールディングスの経営企画部に入社しました。今は採算管理と経営計画の策定が中心です。記事では前職を大手金融機関とだけ書いており、銀行とは明記していません。
  • 都市銀行からネット銀行の戦略立案を経て、同じ持株会社へ 都市銀行でプロジェクトファイナンスなどを手がけ、証券会社への出向も経験した人が、2019年にネット銀行へ移って戦略立案と子会社管理を担当しました。2021年には上の事例と同じ会社の経営企画部に入り、中期経営計画の策定や予算と実績の取りまとめを受け持っています。
  • (参考)金融機関の営業から、鉄道グループの経営企画部へ 新卒で入った金融機関で個人と法人に金融商品を提案していた人が、近鉄グループホールディングスの経営企画部に移り、IR(投資家向けの広報)を担当しています。記事に書かれた前職の仕事は営業で、営業以外の仕事に挑戦したいことと関西で働きたいことが転職の理由でした。前職は金融機関とだけ書かれています。

事例の出典:宮崎銀行 採用サイト「先輩行員インタビュー」(掲載日の記載なし・2026年11月3日確認 https://www.miyagin.co.jp/jinji/pg5509745.html )/auフィナンシャルホールディングス 中途採用情報「金融持株会社の経営企画とは」(掲載日の記載なし・2021年入社の社員2人の対談・所属部署は取材当時のもの・2026年11月3日確認 https://www.au-financial.com/recruit/crosstalk01/index.html )/近鉄グループホールディングス キャリア採用ページ「キャリア採用社員の声」INTERVIEW 01(掲載日の記載なし・会社と部署は取材当時のもの・2026年11月3日確認 https://www.kintetsu-g-hd.co.jp/recruit/career/interview/ )

4件のうち3件は、地方銀行や金融持株会社など、金融の会社の経営企画へ移っています。金融持株会社の対談では、傘下に銀行やカード、証券、保険の会社があり、業態ごとに関係する法律や規制が違うため、理解するまでに時間がかかるという話が出ていました。業種をまたいだ1件も、統合報告書や有価証券報告書を読み込み、経理の知識を身につけているそうです。

職務経歴書には、計画の規模と自分が受け持った範囲を書く

本部の企画の仕事は、何人もの担当者で1つの計画を作るため、自分の役割が伝わりにくくなります。中期経営計画のどの部分を書いたのか、予算を何店分配分したのか、経営会議に何回資料を出したのか。受け持った範囲を数字で書いておくと、事業会社とコンサルティング会社のどちらにも伝わります。

銀行を辞めてから次の会社に入るまで間が空く人は、退職後の健康保険の選び方も先に決めておきましょう。任意継続と国民健康保険の保険料の比べ方は、退職後の健康保険の記事で試算しています。事務職の求人倍率を例にしたjob tagの統計の見方は、銀行の窓口・事務の経験を活かせる転職先で説明しています。

job tagの統計と各社の採用情報は年度ごとに入れ替わるため、応募する前に各機関と各社の最新情報で確かめてください。

参考・出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「企画・調査担当」/同「経営コンサルタント」/同「ITコンサルタント」/同「M&Aマネージャー、M&Aコンサルタント/M&Aアドバイザー」/同「銀行・信用金庫渉外担当」(いずれも2026年11月3日確認)

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