会社を辞めて次の勤め先まで間が空く人は、退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区町村で国民年金の第1号被保険者になる届出をします。2026年度(令和8年度)の国民年金保険料は月17,920円で、納付書は届出のおよそ2週間後に届きます。
収入が途絶えて保険料を払えないときは、失業等による特例免除を申請できます。退職した本人の前年所得をゼロとして審査する仕組みで、離職票か雇用保険受給資格者証のコピーを添えます。申請しないまま払わずにいると未納になり、2年を過ぎると免除も納付もできなくなります。
厚生年金を抜けた日から、国民年金の区分が変わる
会社員として厚生年金に入っている人は、国民年金では第2号被保険者です。退職すると厚生年金の資格を失い、20歳以上60歳未満の人は第1号か第3号のどちらかに切り替わり、どちらになるかは配偶者の勤め先と扶養の有無で決まります。
| 退職後の状況 | 新しい区分 | 保険料 | 手続きの窓口 |
|---|---|---|---|
| 配偶者が厚生年金に加入していて、その被扶養者になる | 第3号被保険者 | 自分で払う必要なし | 配偶者の勤務先 |
| 配偶者が厚生年金に加入しているが、被扶養者にならない | 第1号被保険者 | 月17,920円(2026年度) | 住所地の市区町村 |
| 配偶者がいない、または配偶者が自営業など | 第1号被保険者 | 月17,920円(2026年度) | 住所地の市区町村 |
出典:日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」、同「国民年金保険料」(2026年10月確認)
第1号になるのは退職日の翌日からで、保険料はその日が属する月の分からかかります。日本年金機構の例では、3月31日に辞めた人も4月15日に辞めた人も、次の会社に入らなければ4月分の保険料から払います。月末より前に辞めると、その月から国民年金の保険料がかかります。
扶養していた配偶者の手続きも忘れないでください。会社員の夫や妻に扶養されて第3号だった配偶者も、本人の退職と同時に第3号の資格を失います。配偶者が20歳以上60歳未満なら、本人と一緒に第1号への届出をする必要があります。
届出は退職日の翌日から14日以内に市区町村へ
第1号への届出は、国民年金被保険者関係届書(申出書)を住所地の市区役所か町村役場に出して行います。届け出るのは本人か世帯主で、マイナポータルからの電子申請もできます。手元にそろえておく書類は次のとおりです。
- 基礎年金番号通知書や年金手帳など、基礎年金番号が分かるもの(マイナンバーカードでも可)
- 退職日が分かる書類(離職票など。退職直後は求められることがある)
- 窓口で手続きするときは本人確認書類
届出が受理されると、およそ2週間後に加入した月の分からの納付書が送られてきます。届出を忘れていると、日本年金機構から国民年金加入の案内が届くことがあります。届出が遅れても、第1号になった月からの保険料を払う必要があることに変わりはありません。
健康保険の切り替えも同じ時期に期限が来て、任意継続は資格を失った日から20日以内、国民健康保険は14日以内です。保険料の比べ方は退職後の健康保険の選び方の記事で解説しています。国民健康保険も国民年金も住所地の市区町村が窓口なので、同じ日に手続きできます。
2026年度の保険料は月17,920円、まとめて払うと割り引かれる
国民年金保険料は、所得にかかわらず全員が同じ金額で、2026年度(令和8年度)は月17,920円で、2027年度(令和9年度)は月18,290円に上がることが厚生労働省から公表されています。毎月払うほか、数か月分をまとめて払って割引を受ける前納も選べます。
| 払い方(2026年度) | 口座振替 | 納付書・クレジットカード |
|---|---|---|
| 毎月払う | 17,920円 | 17,920円 |
| 当月末に振替(早割) | 17,860円(60円割引) | なし |
| 6か月前納 | 106,300円(1,220円割引) | 106,650円(870円割引) |
| 1年前納 | 210,530円(4,510円割引) | 211,220円(3,820円割引) |
| 2年前納 | 417,150円(17,370円割引) | 418,510円(16,010円割引) |
出典:日本年金機構「保険料を前払い(前納)すると割引があります」(2026年10月確認)。割引額は毎月納付した場合との差。
再就職して厚生年金に入ると、その月から国民年金の保険料はかかりません。次の勤め先がすぐ決まりそうな人は、6か月以上の前納を急がず、毎月払いや早割で様子を見る方法もあります。
払った国民年金保険料は、全額が所得税・住民税の計算で社会保険料控除の対象になります。国税庁によると、2年前納した分は払った年にまとめて控除しても、各年に分けて控除してもかまいません。年内に再就職した人は、新しい勤務先の年末調整で申告できます。
払えないときは失業等による特例免除を申請する
保険料の免除とは、所得が少ないときなどに申請して、保険料の全部か一部を払わなくてよくなる制度のことです。免除される金額は全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があり、ふだんは本人・配偶者・世帯主の前年所得で認められるかどうかが決まります。
| 種類 | 払う額(2026年度・月額) | 老齢基礎年金への反映 | 前年所得の基準(通常の審査) |
|---|---|---|---|
| 全額免除 | 0円 | 納付した場合の2分の1 | (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 |
| 4分の3免除 | 4,480円 | 8分の5 | 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
| 半額免除 | 8,960円 | 8分の6 | 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
| 4分の1免除 | 13,440円 | 8分の7 | 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
| 納付猶予(50歳未満) | 0円 | 反映されない | (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 |
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(2026年10月16日更新・2026年10月確認)。年金への反映は2009年4月分以降の割合。
会社を辞めたばかりの人は、前年の給与があるため通常の審査では通りにくくなります。このような人のために、退職した本人の前年所得をゼロとみなして審査する失業等による特例免除があります。申請書に離職日の翌日を書き、次のどれかのコピーを添えます。
- 勤務先から交付される雇用保険被保険者離職票
- ハローワークで交付される雇用保険受給資格者証、または雇用保険受給資格通知
- 上の書類を用意できない人は、登記事項証明書など公的な証明書類と、失業の状態にあることの申し立て(年金事務所か市区町村に相談)
離職票や受給資格者証は、失業保険の手続きで手元に届く書類です。受け取る時期と流れは失業保険(基本手当)の条件と受給の流れの記事で紹介しています。審査の結果は、申請からおよそ2か月後に日本年金機構から郵送で届きます。
特例免除でも、世帯主と配偶者の前年所得は審査されます。たとえば退職後に実家へ戻り、親が世帯主になった場合は、親の所得が基準を超えると全額免除が認められないことがあります。50歳未満の人は、世帯主の所得を審査しない納付猶予を選ぶ方法もあります。
免除の年度は7月から翌年6月までで、原則として年度ごとに申請します。2025年中に離職した人なら、離職した月の前月分から2026年6月分までをまとめて申請でき、2026年7月以降の分は7月になってから申請します。特例免除の承認を受けた人も、翌年度の分はあらためて申請が必要です。
納付・免除・未納で将来の年金はどれだけ違うか(当サイト試算)
老齢基礎年金は、40年間(480か月)すべて納付すると満額を受け取れます。2026年度の満額は月70,608円(1956年4月2日以後生まれ)です。退職後に保険料を払った月、免除を受けた月、未納のままの月で、65歳から受け取る年金がどう変わるかを試算しました。

| 退職後の期間の扱い | 6か月の場合の負担 | 6か月で増える年金(年額) | 12か月の場合の負担 | 12か月で増える年金(年額) |
|---|---|---|---|---|
| 全額を納付 | 107,520円 | 約10,590円 | 215,040円 | 約21,180円 |
| 半額免除(半額を納付) | 53,760円 | 約7,940円 | 107,520円 | 約15,890円 |
| 全額免除 | 0円 | 約5,300円 | 0円 | 約10,590円 |
| 未納のまま | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
当サイト試算(2026年10月)。仮定:保険料はすべて2026年度の月17,920円、年金額は2026年度の満額月70,608円の12か月分(847,296円)×月数÷480×反映割合で計算し、10円未満を四捨五入した概算。出典:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」。
この式で1年分の全額免除を計算すると約10,590円になり、日本年金機構が追納の案内で示す「全額免除の期間であれば老後の年金が年間で約1万円」と一致します。6か月分を全額納付した場合、負担した107,520円は年金を受け取り始めてから約10年で取り戻せる計算です。
一方で、全額免除と全額納付の差は年約5,300円で、差額を取り戻すには約20年かかります。手元のお金が少ない時期は免除を受けて生活費を守り、再就職してから追納するという順番も選べます。追納とは、免除や納付猶予を受けた保険料を10年以内に後から納める制度のことです。
追納は、免除を受けた年度の翌年度から数えて3年度目以降になると、当時の保険料に加算額が上乗せされます。免除を受けた年度の翌々年度までに追納すれば、加算額はかかりません。ただし、老齢基礎年金を受け取れるようになった人は追納できません。
未納と免除の大きな違いは、障害年金と遺族年金に出る
未納の月は、将来の老齢基礎年金に反映されないだけではありません。障害基礎年金を受けるには、初診日の前々月までの被保険者期間のうち3分の2以上が納付済みか免除である必要があります。初診日が2036年3月末までで65歳未満なら、直近1年間に未納がなければよいという特例があります。
退職直後の数か月を未納のまま過ごすと、その間に病気やけがで初診日を迎えたとき、この特例の条件を満たさない場合があります。免除の承認を受けた月は、受給資格を判断する期間に数えられます。病気やけがが起きてから免除を申請しても、障害基礎年金の納付要件には算入されません。
免除の申請は、保険料の納付期限から2年以内(申請時点から2年1か月前まで)の月にさかのぼってできます。たとえば2024年9月分の保険料は、2026年10月30日が窓口での申請期限でした。期限を過ぎた月は時効になり、払うことも免除を受けることもできません。
再就職したら、国民年金の届出はいらない
次の会社で厚生年金に入ると、国民年金は第2号被保険者に戻ります。厚生年金の加入手続きは勤務先が行うため、自分で市区町村に届け出る必要はありません。免除を受けていた人は、収入が戻った段階で追納するかどうかを考えるとよいでしょう。
退職の理由によって失業保険の給付制限や国民健康保険料の軽減が変わる点は、自己都合退職と会社都合退職の違いの記事で解説しています。国民年金の特例免除は、自己都合で辞めた人も会社都合で辞めた人も同じように申請できます。
保険料の額や免除の基準は年度ごとに見直されるため、届出や申請の前に日本年金機構と市区町村の最新の案内で確かめてください。
参考・出典:日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」/同「会社を退職したときの国民年金の手続き」/同「国民年金の加入、保険料免除・納付猶予制度のご案内」/同「国民年金保険料」/同「前納」/同「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」/同「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間」/同「追納」/同「令和8年4月分からの年金額等について」/同「障害基礎年金の受給要件」/厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」/国税庁 No.1130 社会保険料控除(いずれも2026年10月確認)




