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銀行の個人営業の経験を活かせる転職先|証券・IFA・保険・不動産

銀行で投資信託や保険を販売してきた経験は、証券会社、IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)、保険会社や保険代理店、不動産会社の営業で生かせます。どの移り先でも、お客さまの資産や家計を聞き取り、商品の仕組みとリスクを説明する力が求められるからです。

ただし、どの仕事にも法律で決められた登録や資格があり、銀行で取った資格がそのまま使えるとは限りません。たとえば銀行員向けの特別会員外務員資格は、証券会社の外務員資格としては有効ではありません。

4つの移り先で営業を始めるのに必要な登録を法令と協会の資料で比べ、銀行から移った人の事例を3件紹介します。内容は2026年10月30日に確認した公表資料にもとづいています。

移り先ごとに、営業を始める前に必要な登録が違う

金融商品や不動産の営業は、誰でもすぐに始められるわけではありません。証券は金融商品取引法、保険は保険業法、不動産は宅地建物取引業法が、販売や説明をする人の登録や資格を定めています。

移り先必要な登録・資格主な根拠銀行の経験で生きること
証券会社外務員資格(一種・二種)と所属先での外務員登録金融商品取引法、日本証券業協会の規則投資信託の説明、お客さまに合う商品かの確認
IFA(金融商品仲介業者)会社の金融商品仲介業の登録と、本人の外務員登録金融商品取引法2条11項・66条など資産全体の聞き取り、長い付き合いの顧客対応
保険会社・保険代理店一般課程試験の合格と生命保険募集人の登録(変額保険・外貨建保険は別の販売資格)保険業法276条、生命保険協会の教育課程保険の窓口販売、家計の聞き取り
不動産会社宅地建物取引士(事務所ごとに一定数が必要)宅地建物取引業法31条の3住宅ローンの知識、資産や相続の相談

証券会社とIFAは同じ外務員の制度を使いますが、保険は生命保険協会の試験、不動産は国家資格の宅建士と、資格の体系が大きく異なります。銀行で取った資格のうちどれが移り先でも通用するかを先に知っておくと、入社後の研修の負担を見込めます。

証券会社とIFAでは、外務員として登録し直す

外務員とは、日本証券業協会に加入している証券会社や銀行などに所属し、お客さまに金融商品の販売や勧誘をする役職員のことです。外務員として働くには、外務員資格試験に合格したうえで、所属先を通じて外務員登録を受ける必要があります。

協会の説明では、外務員資格そのものは退職しても他社へ転職しても有効です。一方で登録は所属先ごとに行うため、転職先で改めて登録を受けます。新たに登録を受けた人や再び登録を受けた人は、原則として180日以内に資格更新研修を受けなければなりません。

銀行員向けの特別会員資格は、証券会社では通用しない

銀行の行員が取る外務員資格には、一般の人も受けられる一種・二種のほかに、特別会員一種・二種などがあります。特別会員一種外務員資格試験は、銀行などの預金取扱金融機関や保険会社などの役職員だけが受けられる試験です。

協会は、特別会員一種・二種・四種の資格は証券会社の外務員資格としては有効ではないとしています。銀行で特別会員の資格だけを持っている人が証券会社やIFAに移るには、一般向けの一種か二種の試験に合格し直す必要があります。

一般向けの試験は、一種が100問で2時間40分、二種が70問で2時間です。どちらも満点の7割以上で合格となり、2025年度の一般受験者の合格率は一種が73.1%(受験者7,408名)、二種が68.1%(同3,753名)でした。

IFAは証券会社から委託を受け、お金を預からずに仲介する

IFAの多くは、法律上は金融商品仲介業者として登録された会社に所属しています。金融商品仲介業とは、証券会社や登録金融機関の委託を受けて、有価証券の売買の媒介などをその会社のために行う業務のことです(金融商品取引法2条11項)。

金融商品仲介業者は、どんな名目でも顧客からお金や有価証券を預かってはいけません(同法66条の13)。お客さまは証券会社に口座を開き、IFAは提案と注文の取り次ぎを受け持ちます。預金や口座を自社で管理する銀行とは、ここが大きく違います。

当サイト集計 金融商品仲介業者は全国に678者

金融庁が公表している金融商品仲介業者の登録一覧(2026年9月30日現在)を数えると、全国で678者が登録されていました。法人が664者、個人が14者で、ほとんどが会社として登録しています。

金融商品仲介業者の登録数を管轄財務局別に比べた横棒グラフ。関東財務局が341者で最も多く、全国合計は678者
全国678者(法人664・個人14)。登録一覧の財務局別の件数を数えた当サイトの集計です。

管轄の財務局別では関東財務局が341者で、全体の約5割を占めます。地方で働き続けたい人は、一覧で地元の財務局に登録された業者と、その委託元の証券会社を確かめておくと、移り先の候補をつかめます。

保険会社と保険代理店では、生命保険募集人として登録する

生命保険の募集をする人は、保険業法にもとづき生命保険募集人として内閣総理大臣の登録を受けなければなりません(保険業法276条)。登録の前提になるのが、生命保険協会が実施する一般課程試験です。

協会の案内では、保険会社の営業職員は入社から約3か月の研修の中で、基礎研修、一般課程試験、合格、登録、実践研修の順に進みます。代理店の場合は、基礎研修の前に業務委託の説明会があります。

変額保険や外貨建保険を扱うには、さらに別の資格が要ります。募集人として登録済みで専門課程試験に合格していることなどを条件に、変額保険販売資格試験や外貨建保険販売資格試験を受け、協会に登録されて初めて販売できます。

銀行の窓口で外貨建ての保険や変額年金を扱っていた人は、これらの資格をすでに持っていることがあります。ただ、合格の扱いは募集の仕事を離れていた期間などで変わることがあるため、転職先の研修担当に早めに確認してください。

不動産会社では、事務所ごとに宅建士を置く決まりがある

宅地建物取引士(宅建士)とは、宅建試験に合格し、都道府県知事の登録を受けて宅地建物取引士証の交付を受けた人のことです。売買や賃貸の契約前に行う重要事項の説明と、その説明書や契約書への記名は宅建士にしかできません。

宅地建物取引業者は、事務所で業務に従事する人の5分の1以上に当たる数の専任の宅建士を置かなければなりません(宅地建物取引業法31条の3、同法施行規則15条の5の3)。営業職の求人で宅建士が評価される理由の一つがこの決まりです。

当サイト試算 事務所の人数と必要な宅建士の数

5分の1以上という基準を、事務所で働く人の数に当てはめて計算しました。端数が出たら1人分を足すため、2人目の宅建士が必要になるのは6人目からです。

事務所で業務に従事する人必要な専任の宅建士
1〜5人1人以上
6〜10人2人以上
11〜15人3人以上
20人4人以上
30人6人以上

※宅地建物取引業法施行規則15条の5の3の「5分の1以上」を当てはめた当サイトの計算です。案内所など事務所以外の場所は1人以上です。

宅建試験は毎年1回、10月の第3日曜日に行われ、受験手数料は8,200円です。2026年度の試験は10月18日に終わり、合格発表は11月25日の予定です。住宅ローンの相談を受けてきた人は、試験に出る税や権利関係の知識を実務で使ってきたことになります。

銀行の個人向け営業から移った3人の事例

採用企業が公開している社員インタビューから、銀行で個人のお客さまを担当していた人の事例を3件紹介します。内容は各記事の公開時点のもので、個人名は伏せています。

  • 九州の地方銀行からIFAへ 地元の地方銀行で、投資信託や保険を使った資産運用の助言をしていた人が、2022年1月にIFAの会社へ入りました。会社の目標や限られた商品の中で提案することに葛藤があったそうです。本社のある富山の店舗で約1年働いて店長も経験し、2025年に福岡で新しい店舗を立ち上げています。
  • 銀行の法人・個人営業から生命保険会社へ 銀行で約7年、定期預金、融資、投資信託、保険を扱う法人・個人の営業をしていた人が、2021年に生命保険会社のライフプランナーになりました。銀行の経験とFPの資格があっても入社から2年は成果が出ず、先輩に毎週教わって立て直したと振り返っています。
  • 地方銀行から不動産会社の資産運用部門へ 2015年に地方銀行に入り、法人向けの融資営業と預かり資産の営業を担当した人が、2021年6月に不動産会社に移りました。富裕層に米国の不動産投資を提案する部署で、金融や税務の知識と、銀行や証券会社との関係づくりの経験を生かしているそうです。

事例の出典:株式会社Fan 採用サイト「社員インタビュー」(掲載日の記載なし・2026年10月30日確認 https://fancorp.jp/recruit/interview/yamashita/ )/ソニー生命保険 ライフプランナー採用情報「ライフプランナーインタビュー」(掲載日の記載なし・2026年10月30日確認 https://www.sonylife.co.jp/land/lp_recruit/interview/interview02/ )/オープンハウスグループ 採用メディア OPENIA「銀行から不動産への異業種転職」(2024年11月18日公開)

3件とも、転勤で担当が替わることや扱える商品の幅を気にかけ、同じお客さまを長く担当できる仕事を選んでいます。一方で生命保険会社の事例のように、銀行の知識があっても新しい仕事で成果が出るまでに時間がかかる場合があります。

退職を決める前に、手元の資格と収入の決まり方を確認する

外務員資格は、日本証券業協会が案内している方法で保有資格や処分の状況を確認できます。銀行で合格した試験が一般向けの一種・二種か特別会員の資格かは、勤務先の人事部に聞いても分かります。

IFAや保険の営業では、給与の多くが成果で決まる会社や、雇用ではなく業務委託で契約する会社もあります。業務委託の場合は勤務先の健康保険や厚生年金に入らないため、同じ収入でも手取りの計算が会社員とは変わります。

銀行で担当していたお客さまの名前や取引の内容は、持ち出したり転職先の営業に使ったりしてはいけません。法人のお客さまとの経験を生かしたい人は、銀行の法人営業の経験を活かせる転職先と融資・審査の経験を活かせる転職先の記事もご覧ください。

退職から次の入社まで間が空く人は、健康保険の切り替えも必要です。任意継続と国民健康保険の保険料の比べ方は、退職後の健康保険の記事で紹介しています。

登録や試験の制度は、法改正や協会の規則の見直しで変わります。制度や商品の内容は改正・改定されることがあるため、応募や退職の手続きの前に各機関と採用企業の最新情報で確かめてください。

参考・出典:日本証券業協会「外務員」/同「外務員資格試験」/同「特別会員一種外務員」/e-Gov法令検索「金融商品取引法」/金融庁「金融商品仲介業者登録一覧」/e-Gov法令検索「保険業法」/生命保険協会「業界共通教育課程」/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」/同「宅地建物取引業法施行規則」/不動産適正取引推進機構「宅建試験の概要」(いずれも2026年10月30日確認)

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